人は様々な状況・環境・人間関係などに囲まれて生きています。
それは一人ひとり違うものです。
自分が今置かれている状況のなかで、いったい何ができるのか?
人生を価値あるものにするためには、どうすればいいのか?

第二次世界大戦中、ナチスの作った過酷な強制収容所という状況下を生き延び、そこでの体験を著書『夜と霧』に書き記したヴィクトール・エミール・フランクルは、その答えとして3つの価値の提言を残しました。
今回はその価値についてお話したいと思います。





人生を意味のあるものにする3つの価値


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【チェックリスト】

極度の人見知り
同年齢くらいの子と遊べない
思い立ったような急な行動が多い
癇癪を起こすことが多い
簡単な質問に答えられない
会話が成り立たない
言葉が遅れている
お気に入りがあるとそればかりになる
新しい場所や人に接するのを非常に嫌がる・不安がる
気に入らないことがあると手が出る
ごっこ遊びをしない
恵まれた環境や快楽、または反対に直面している悲劇や苦難そのものが、生きる力になるのではありません。
どのような状況にあっても、自分のしていることに価値を感じられるか。
自分が置かれた今の状況に、どのような意味を感じているかこそが、人間の精神的な健康の源になっているのです。
人間一人ひとりが世界の創造的要素であり、今この瞬間にも意味を実現するのか意味を崩壊させるのかを自ら決断をする自由を持っています。
犯罪を犯して自分と他者の価値を崩壊させる態度も自由であれば自分と他者の価値実現のための態度をとる自由もあるのです。
その選択は私たち一人ひとりの責任にまかされています。

繰り返そう。
悲劇に直面していても、幸せな人はいる。
苦しみにも関わらず存在する意味ゆえに。
癒やしの力は、意味の中にこそあるのです。
『生きる意味を求めて』

フランクルは、人生を意味で満たす「3つの価値」(創造価値、体験価値、態度価値)を提唱しました。





【創造価値】


「なにかを行うこと、活動したり創造したりすること、自分の仕事を実現すること」によって実現される価値。


フランクルの場合は自分の処女作 『死と愛』——ロゴセラピー入門(原題:「医師による魂の癒し」) を出版し学説を世に問うことが「創造価値」となり、収容所生活を生きる意欲の源泉となったといいます。

講演の聴講者による「ただの洋服屋に人生の意味なんてない」という反論に対して、フランクルは職業や創造物の社会的価値がどうこうではなく、自分に与えられた仕事に対してどれだけ最善を尽くしているかということだけが重要であると述べています。
仕事でなくても、趣味でも特技でも、あるいはボランティアでもかまいません。
自分にとって価値があると思う行動をして今までとは違う何かを創りだすのが、創造価値です。





【体験価値】


「何かを体験すること、自然、芸術、人間を愛すること」によって実現される価値。


美しいものにふれたり、素晴らしい景色や名画を見る、人を愛し、人に奉仕することで、世界から何かを受け取るときに伴う体験によって実現される価値です。

ドイツでは、高校や大学で進路指導や職業指導の時間がきちんと位置づけられ、「自分は人生から何を求められているのだろうか」と考える機会がカリキュラムとして豊富に設定されています。
日本の子どもがストレスフルなのは、大人からやみくもに「自分の将来のためにとにかくがんばれ、勉強しろ」と言われ、塾、勉強、試験と忙しく毎日を過ごしながらもそれが「何のため」かを実感できないからかもしれません。

不登校の生徒が、クラスの亀の飼育係になり毎日休むことなく学校に登校するようになった例があります。
「自分が世話をしないと亀が死んでしまう。私は亀に必要とされている」という意識が登校意欲をかき立てたのです。

いじめを繰り返す子どもがボランティア体験をして、いじめをやめるようになったという例もあります。
ボランティア体験を通して「ありがとう」と声をかけられ、「自分も人の役に立てる」と自信を持ち、あくせく「自分のため」に頑張っていた時には感じなかった「生きる喜び」を感じることができ、「自分を必要としてくれる人がいる」という充実感を持つことができたからではないでしょうか。





【態度価値】


自分でコントロールしようのない、自分の力ではどうしようもない状況に直面した時にどのような態度をとるかによって実現される価値。


フランクルは『それでも人生にイエスと言う』のなかでこう述べています。

価値を実現する可能性が制約されているということが、自分ではどうしようもない運命であり、逃れられない事実であっても、その事実に対して自らがどのような態度をとるか、その事実にどう立ち向かい、どうふるまうか、自分に課せられた状況をどのように引き受けるかに、生きる意味を見いだすことができるのです。

態度価値の例としてフランクルは脊髄腫瘍を患った広告デザイナーの例をあげています。
そのデザイナーは腫瘍が原因で手足が麻痺してしまったので、広告をデザインするという仕事を通してこの世界に「創造価値」を生み出すことができなくなりました。
仕事を失うことは、彼の生きる力を大きく失わせたことでしょう。
入院した彼は自身の活動範囲を著しく制限されるようになりましたが、それでも彼は、病院で読書に取り組み、音楽に耳を傾け、他の患者と会話をして人生を意味で満たそうと努力しました。
世界から価値をうとける「体験価値」を実現していったのです。
彼の生活は受け身になりましたが、創造価値を奪われても、体験価値を受け取ることで、生活に意味が生まれました。
ところがさらに病が進行すると、書物を手にすることも、音楽も聴くことも、会話をすることすらできなくなりました。
「創造価値」に加え「体験価値」を実現する機会をも奪われた彼はまさに絶望的で「それでも生きることに意味があるのか」と疑わざるを得ない状況になってしまったのです。

フランクルは彼が入院する病院の当直医として、午後の回診で彼のもとを訪れます。
実は、彼は病院長が行った午前の回診で、死の数時間前に苦痛を和らげるモルヒネ注射が打たれることを知っていました。
そこで自分の死を予感した彼はフランクルを呼び寄せ、死を意味するモルヒネ注射を今のうちに打つように頼んだのです。
自分の命があと数時間しかもたないことを自覚していた彼が、モルヒネ注射を打つためだけにフランクルが夜中に起こされないようにと配慮したフランクルに向けられた優しさの行為だったのです。

フランクルは彼のとった態度にふれて、こう書いています。
「この人は、死の直前にあってなお、他者のことを優しく気づかっていました。こういうさりげない言葉、このようにまわりの人のことを思いやる気持ちを見てください。まぎれもなく死ぬ数時間前のことです。ここに素晴らしい業績があります。職業上の業績ではないにしても、人間らしい無比の業績があります」

命の瀬戸際にあっても、逃れられない死という十字架を引き受け、彼のとった態度は人間らしい業績となり、人生に深い意味をもたらしたのです。
「人生の業績」とは、高い成果をあげたり、組織で高い地位についたりする仕事の成果だけではありません。
確かにひとつの達成感があり、人生に意味を感じられますが、これは「外面的な成功」です。
それに対して、人生には「内面的な成功」があります。
死の数時間前にフランクルに向けられた彼の態度は、彼が健康であれば創作できたであろう素晴らしい広告デザイン作品よりも、もっと意味に満ちたものだったといえるのです。
「外面的な成功」を成し遂げていなくても、心が「内面的な成功」によって満たされれば「外面的な成功」よりむしろ、その人のとる態度によって、どんな時にでも、例え病気で苦しむ時でも、死の直前であっても、人生は意味で満ちてくるのだといえます。

フランクルはいいます。

「この態度価値が存在することが、人生が意味を持つことを決してやめない理由である」

「創造価値と体験価値の両方を奪われてしまった人でも、態度価値だけは決して奪われることはない」






まとめ

「創造価値」「体験価値」に意味を発見できる人はそこで生きがいを感じます。
しかし「創造価値」「体験価値」ができなければ、生きる意味を失うかというとそうではありません。
「創造価値」「体験価値」が失われても「態度価値」が残っているからです。
避けられない運命的な出来事においてもそれを受け入れて生きる態度に「態度価値」が実現さます。
人間は、死ぬ寸前まで生きる意味を持っていて、

「人間には責任、つまり意味と価値を充たし実現する責任がある。」 『意味への意志』
のです。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。