そのなかには自分の理解をはるかに超えるような人もいます。
そんな様々な人とよい人間関係を築くにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、元CAで研修講師の三上ナナエ氏の著書『一生使える「敬語&ビジネスマナー」』より、相手を観察し、距離を縮め、よい関係を築くきっかけになるヒントをご紹介します。
相手にとって心地よいマナーを実践するためには、まず相手を「察する」ことが大切です。
察するとは、相手の言葉や様子から、その人の状態や望みを感じ取ることを指します。
ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、察するためには、相手を「観察する」ことが第一なのです。
この観察力が備わっている人は、察する力も高く、結果として相手が心地よく感じるビジネスマナーができる確率が上がります。
具体的な例をご紹介します。
友人と二人で、ホテル内のレストランへはいり、ランチにコース料理を注文して、メイン料理を待っていました。
お料理をシェアする目的で、魚料理とお肉料理を1つずつ頼みましたが、シェアすることはお店の方にはお伝えしていません。
いざ魚料理が先に運ばれてきて、二人で目を合わせ、どちらに魚料理を置いてもらうか、ほんの一瞬迷っていると、すかさずお店の方が「シェアされますか? お皿をお持ちしますね」と言って、お皿を取りに行ってくれました。
どうしてわかったのか聞いてみると、「お二人が一瞬迷われている感じがしたので」と応えてくれました。
お店の方の察する力は、誰かに教えてもらったわけではなく、毎日の仕事の中で、お客様を観察しているうちに培ったようでした。
この場面での基本のマナーは、お声をかけながら、どちらかのテーブルに、音を立てずにお皿を置くということかもしれません。
しかしその方は、お客様の「一瞬迷われている感じ」という小さな行動を見逃さず、その場に合った最善の選択をしてくれました。
私たちはとても温かい気持ちになり、二人ともそのお店のファンになったことは言うまでもありません。
では、観察を通して、察する力を高めるにはどうしたらよいのでしょう。
察する力が高い人たちには、こんな習慣や傾向があるようです。
●待ち合わせには早めに到着し、時間、気持ちに余裕をもった行動をしている
●会話をするときは、相手へ質問したり、話を聴くことを大切にしている
●会食や飲み会では、周りを見渡し、飲み物がない人に声かけをしている
すでにあなたもやっていること、またはちょっとやってみようかなと思うことがあったかもしれません。
どれも特別なことではなく、普段の行動にプラスしてできるようなことばかりですね。
また、察する力を高めると、もう1ついいことがあります。
それは、苦手な人が減る可能性があるということです。
「あの人のことよくわからないな」「ちょっと苦手だな」と、興味が持てない人もいるのではないでしょうか。
そんなときは、興味が持てなくても相手を「観察する」ことからスタートしてみましょう。
「観察する」「知ろうとする」そのことが、相手との距離を縮め、よい関係を築くきっかけになります。
なぜなら、今まで見えていなかった一面を発見することで、普段の仕事でのその人の意見、考えなども「そういえば前にこんな話をしていたな、こういう意図や思いからなのかな」と理解ができ、実は苦手だと勝手に思い込んでいたことに気づけるからです。
苦手な人が少なくなると、自分のストレスも減り、仕事がスムーズに進むでしょう。
マナーとは少し離れてしまいましたが、「観察すること」の応用編として、試してみることをおすすめします。
「この人に気に入られたい」「これからぜひ、取引をしてもらいたい」と思っている相手に会うときは、テンションが高くなりがちです。
よい印象で見られたいと思うあまり頑張りすぎてしまうことは、誰にだってあります。
しかし、第一印象で、あまりにも普段と違う姿を見せようとするのは禁物です。
気合いを入れ過ぎると、それをキープするのがつらくなり、その後ボロが出て評価が大幅に下がってしまうことになりかねないからです。
また、テンションが高いときは、得てして相手に合わせた会話運びになりがちです。
マナーがある人というよりは、「調子のいい人」という印象を与えてしまう恐れがあります。
気に入られようとするあまり、冷静でいられず、マナーを超えた失言をしてしまうなんていう可能性もあります。
はりきりモードで力が入り「何かいいことを言わなきゃ!」と相手を褒めすぎる流れになり、結局、「そんな無理に褒めなくてもいいですよ」「それはちょっとオーバーだなあ」と相手に見透かされ、結局会話がぎこちないものになってしまうなどということも考えられます。
人はみんな気に入られたいと思うものですが、いつもと違う自分で、取り繕ってまで好かれようとしなくてもいいのです。
「良好な関係を築きたい」「ご縁をつなぎたい」と思う相手に会うときこそ、一旦冷静になって、その場を必要以上に盛り上げようとせず、基本のマナーを思い出し、落ち着いて、相手と向き合おうとすることが大切です。
空回りせずに、自信を持って振る舞うために大切なのは、「準備」と「ちょっとした習慣」です。
ある心理カウンセラーの方は、クライアントに会う前、心を落ち着けるために「静かな湖が目の前にあって、湖面に自分の姿が映っているイメージ」をするそうです。
すると、呼吸が深くなり、心が落ち着いてくると教えてくれました。
慌ただしい日常から少し離れ、クライアントさんの話に集中するための大事なルーティーンだそうです。
一人ひとり心を落ち着ける方法は異なるかもしれませんが、ベースとして
●その人の大事にしているものは何か想像する
●どんな会話をするか、質問をするか、いくつか考えておく
●時間に余裕を持って、その場所に出かける
●全身鏡を見て、身だしなみを整える
といった準備をするのとしないのとでは、その場での自信が大きく違ってきます。
特に身だしなみを事前にチェックし、自分で気になるところがない状態ならば、堂々と振る舞うことができます。
また、
●笑顔のチェックをする
●深呼吸を3回する
など、自分なりの心を落ち着かせるルーティーンを持ち、それを習慣にするのもおすすめです。
まとめ
大切なのは、自分をよく見せることではなく、相手に敬意を持ち心から接することです。
あまり気負いせずにスタートは7割くらいのテンションで落ち着いて、普段の自分を心がけると、その姿を見て、相手も安心してくれるはずです。
「相手に好かれよう」とするのではなく、「相手を不安にさせなければいい」と思うことです。
そんなふうに自分をプロデュースしてみると、きっといつも通りのあなたで接することができることでしょう。