最近よく耳にはするものの、具体的にどの肉を食べるのが効果的かまでは伝わってきません。
今回は、管理栄養士で元日本オリンピック委員会強化スタッフでもある川端理香氏の著書『知らないと損をする「たんぱく質」の正解』から、さまざまな種類の肉に含まれるたんぱく質の量や、その他の栄養素についてご紹介します。
たんぱく質を多く含む食品といえば、鶏肉を思いうかべる方が多いのではないでしょうか。
部位としては鶏胸肉(皮なし)が、相当量のたんぱく質がとれます。
鶏肉の良さは、たんぱく質が多く含まれるだけでなく、たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6も含まれる点です。
なお、鶏肉にはイミダペプチドといって、抗酸化作用があり、疲労回復には欠かせない栄養素が含まれています。
イミダペプチドは人や動物の骨格筋にある2つのアミノ酸の総結合体です。
これはたんぱく質と同様に鶏胸肉に多く含まれます。
筋トレなどを行って身体を強化したい時にはどうしても疲労がつきものですが、鶏肉をとることで身体づくりのためのたんぱく質をしっかりとり、イミダペプチドのおかげで次回のトレーニングまでにイミダペプチドの効果も得て疲労から回復できるのです。
また免疫力アップには欠かせないビタミンAなども豊富なので、体調不良からの回復などでもおすすめです。
鶏肉のなかでも高たんぱく質低脂質といえば、ささみですが、鶏胸肉の一部が鶏ささみ肉であって、胸肉とささみ肉は同じ部位ということをご存じでしょうか。
イミダペプチドは鶏肉の部位では鶏胸肉に多く、コエンザイムQ10なども含む疲労回復食材です。
部位によって、栄養素にばらつきがあるのが豚肉です。
その原因は脂身にあります。
脂身の量によってたんぱく質をはじめ各栄養素量は影響されやすく、脂身が少なければ多くの栄養素をとることができます。
2015年にWHO(世界保健機関)のIARC(国際がん研究機関)が「加工肉を1日50g食べると大腸がんのリスクが最大18%高まる」と発表し、そこでは赤身肉もそのリスクに関与しているといい、赤身肉には豚肉や牛肉が含まれています。
それまでは魚介類で白身と赤身がよく定義されても、肉類は鶏肉(白身)とそれ以外(赤身)はあまり区別されたことがありませんでした。
しかしこの発表からアスリートの中でも赤身肉からのたんぱく質の摂取はほどほどにしようという流れがあります。
さらに牛ステーキを試合の前日などに定期的に食べたいアスリートは、普段の食事では豚肉の摂取は控えめにしていたりもします。
なお豚肉は、夏バテや疲労回復に欠かせないビタミンB1が豊富です。
ほどほどといいながらも適度には食べたいものです。
ちなみに、豚肉は西日本よりも東日本でよく消費されているというデータもあります。
豚肉はビタミンB1の宝庫であり、糖質を多くとったときに必要なビタミンです。
さらにB2も含まれます。疲れがたまっているときにおすすめの食材です。
なおこのビタミンB1はにんにくや生姜などと一緒にとることで吸収がアップします。
牛肉も部位によって栄養価が大きく変わります。
理由は豚肉と同様に脂身の量に影響されます。
実は肉類の中で、筋繊維の太さからいちばんかたいのが牛肉だといわれています。
死後1週間以上冷蔵庫でねかせたものが店頭に並んでいますが、これは筋繊維に含まれる酵素に分解させてやわらかい肉にするために時間をおいているのです。
肉のおいしさは脂質と、そしてアミノ酸で決まります。
おいしさの代表でもあるアミノ酸の「グルタミン酸」や、「イノシン酸」などの相乗効果がおいしさのポイントです。
牛肉は焼いたときにうまみ成分となるアミノ酸が多いのが特徴です。
必須アミノ酸のリジンが多いので、ご飯(米)と牛ステーキ(牛肉)の組み合わせはたんぱく質をとるにはよい組み合わせといえます。
また牛肉特有の甘い香りは「ラクトン」という物質です。
これは80度で最も強く香るので、この温度で調理されるしゃぶしゃぶやすき焼きは香りによるおいしさも得られます。
ちなみに牛肉は約60%が輸入されています(豚肉は約50%、鶏肉は約20%)。
牛肉には、鉄や亜鉛も多く含まれます。
鉄といえばレバーと思われがちですが、それだけではないのです。
なお牛肉に多いアミノ酸のリジンは、体力や免疫力アップには欠かせない栄養素です。
運動した動物の肉ほどおいしいといわれることがあります。
動かすことで筋繊維の種類が変わるとも知られていますが、実際に羊におもりを乗せて生活させたら筋肉のタイプが変わったという報告もあります。
羊にはアミノ酸の中でも、筋肉などに関与するロイシンと、疲労回復などに関与するイソロイシンが多いことが特徴です。
またなんといってもL-カルニチンが多く含まれることはご存じの方も多いでしょう。
L-カルニチンは、脂肪酸をエネルギーに変える働きがあります。
L-カルニチンは、脂肪酸をエネルギーに変換する際に重要な役割を果たす天然のアミノ酸由来の化合物です。
主に肝臓や腎臓で生成され、ミトコンドリアに脂肪酸を運びエネルギーに変えることで、体脂肪燃焼に役立つのです。
なお、L-カルニチンは体内でも作ることができますが(約20mg)、個人差があるので、気になる方はぜひ羊肉を食べましょう。
なお、ラムは生後1年未満の肉、マトンは生後1年以上の肉のことをさします。
まとめ
馬肉や鹿肉などはなじみがないかもしれませんが、ジビエ料理がお好きな方は、逆によく目にしている方もおられるでしょう。
馬肉は桜肉、鹿肉は紅葉(もみじ)肉ともいわれ、同じく鶏肉はかしわ、猪はぼたんといわれます。
これら肉の別名は「生類憐みの令」により、それまで食用とされていた動物を殺すことが禁止されたため、肉に花の名前をつけて、「これは肉ではない、植物だ」と言い訳するために江戸時代につけられたといわれています。
いろいろな肉料理をまんべんなく取り入れることで、元気な体を作っていきましょう。