このパターンは何十年にもわたる研究で裏付けられていますし、男性は女性よりも結婚願望が強く、結婚することで健康やキャリアアップが促進され、さらには寿命まで伸びることが分かっています。
結婚のメリットは、女性より男性のほうがあるということでしょう。
今回は、結婚と離婚について男女それぞれの観点から分析したいと思います。
女性は男性に比べて、結婚と引き換えに手にしたり失ったりするものは男性よりはっきりとしてないような気がします。
女性は独身でいても、結婚しても、結果として表われるものが曖昧なのです。
独身女性は独り身の気軽さで、既婚の女性より心身共に活発になることが多いのですが、独身男性はそれをマイナスにとらえて孤独を味わったり健康を損ねたり、また早死にしたりするリスクが高いのです。
実際、女性の方が男性よりも恋愛関係の充実度や生活満足度、性的満足度が高く、パートナーが欲しいという願望が低いという結果が出ており、独身でいることを楽しんでいることが研究で示されています。
対照的に、男性は結婚に大きく依存しているため、たとえパートナーに不満があっても離婚を切り出すことは少ない傾向にあるといいます。
多くの男性にとって、不満があって結婚生活を続けることを選ぶのは、必ずしもパートナーへの愛からではなく、むしろ子どもに対する強い責任感からきています。
たとえ夫婦関係に満たされなくなっていても、別れることは家族、特に子どもたちを見捨てることになると感じているのかもしれません。
専門誌『Journal of Social Welfare and Family Law(ジャーナル・オブ・ソーシャルウェルウェア・アンド・ファミリーロー)』に2021年に掲載された、子どものいる離婚した男性の「家庭」に対する考えを探る研究では、多くの男性が家庭を単なる物理的な空間としてではなく、感情や夫婦関係、日常生活、周囲の環境の組み合わせだと説明しています。
家族に家庭サービスをして、精神的に頼れる環境を作ろうと努めたにもかかわらず、喪失感や不安を経験することが多かったのです。
子どもたちは父親の家を必ずしも「主な」家として見ておらず、母親の家を「本当の家」と思っていました。
このような認識から、一部の父親は自分の親としての取り組みが十分に認識されていない、あるいは評価されていないのではないかと感じるのでしょう。
子どもが家にいない時、家の中は空虚に感じられることが多く、そのため子どもが在宅する時だけ家庭が本当に存在するように感じているのです。
親として、父として、家族としての自分の存在が認識されていない、あるいは二の次になっているという思いを抱える現実は、多くの既婚男性が言葉にしないながらも抱えているものです。
そのため、結婚生活がうまくいかなくなっても、感情的なつながりや個人的な満足感より、義務感や罪悪感、社会の期待に促される形で結婚生活を続けることを選ぶ傾向があります。
多くの男性にとって、離婚は精神的な動揺だけでなく、将来に対する大きな不安をもたらすものです。
金銭面での不安や孤独感、慣れ親しんだ日常生活の崩壊が不確実性への恐怖を煽ります。
今まで築き上げたことを、また一からやり直すと考えると気が遠くなり、長期にわたって結婚生活に注いできたものを放棄するという「サンクコスト効果」の心理がそれに拍車を掛けます。
調査によってこの精神的な緊張が浮き彫りにされている。専門誌『Aging & Mental Health(エイジング・アンド・メンタルヘルス)』に2024年に掲載された研究によると、年配になってから離婚した人は自由と孤独を同時に経験することが多いのだそうです。
不幸な結婚生活から解放され、抑えられていた欲望を追求する機会を得たと語る人がいる一方で、孤独と闘っている人もい一定数います。
男性の離婚後の姿勢は女性のものとは異なり、専門誌『Sociological Inquiry(ソシオロジカル・インクワイアリー)』に2018年に掲載された研究では、男性は再婚を望む傾向が強いことが明らかになっています。
これは世話してもらったり誰かと一緒にいるために絶えず結婚に依存していることを反映しているものです。
対照的に女性は世話をする負担が増えることを恐れて再度の結婚には消極的な傾向にあります。
これらの調査結果は男女の矛盾を浮き彫りにしています。
男性は不安定な状態に陥ることを恐れて満たされない結婚生活にとどまるかもしれませんが、同時に精神的に結婚に依存してもいます。
離婚して安堵するとしても、配偶者が欲しいという願望は続きます。
このことは、多くの男性にとって結婚が心を平穏に保つための主な拠り所であることを示唆しているのではないでしょうか。
多くの男性は、自分の弱さを表に出す方法や、感情面のニーズが満たされていないことを認識する方法すら教えられていないため、不満を常態化させてしまいます。
感情を抑え続けることで、やがて男性は感じている不幸を「人生の一部」として受け入れるようになります。
専門誌『Journal of Social and Personal Relationships(ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・パーソナル・リレーションシップス)』に2015年に掲載された研究によると、夫が感情を抑えると、特に結婚初期においては夫婦関係の満足度が下がることが示唆されています。
不満が大きくなるにつれて、双方の感情をコントロールする方法が変わり、気持ちが切り離された状態になることが多いのです。
時が経つにつれ、こうした関係の変化は夫婦間の閉塞感を生み出します。
大きな不満を感じているにもかかわらず、望んでいることを口に出すことを拒んだり、結果を恐れたりして離婚に踏み切れない男性もいます。
従来の概念を持っている人は離婚を失敗、あるいは弱さとみなして満たされない結婚生活に一層縛られるかもしれません。
男性は女性よりも同性の友人を多く持つ傾向がありますが、こうした交友関係はさほど気の置けないものでなく、親密さを欠き、心を開いていないことがあります。
研究者たちは、男性同士の感情的な親密さを妨げている要因はいくつかあると指摘しています。
例えば、伝統的な男性の役割に結びついた社会的期待(競争を求めるプレッシャー、弱いと思われることへの恐れ、弱さへの不快感、同性愛嫌悪など)や、男性の感情的なつながりを肯定的にとらえているロールモデルの欠如が原因となっている可能性があります。
結果として、心を開くための手段や安全な場所が見つからないことが多く、そのため、機能不全に陥った結婚生活を続ける方が、離婚して孤独に直面するよりもましだと感じてしまうのかもしれません。
ひとつのことが理由で男性が不幸な結婚に終止符を打ちたがらないということはまれで、感情の抑圧や孤独への恐れ、文化的な期待、強力な支援体制の欠如などが複雑に絡み合っていることが多いのです。
多くの男性は惰性や、かつてのような状態に戻るのではと期待して結婚生活を続けます。
しかし思い出にしがみついたり、黙って精神的なストレスに耐えたりしても傷は深まる一方なのです。
男性に必要なのは、他人に心を開いてもいいのだと思えるよう、固定観念の男らしさではなく定義を再度理解しなおすことです。
他人を思いやることは自分をないがしろにすることではなく、気持ちを正直に表すことは弱さの表れではないと信じる必要があるのです。
まとめ
しかし、月日がたつとその思いは男女でこうも開いてしまうのです。
女性は男性よりも、こうあるべきという観念が薄く自由なのだと思います。
「男はこうあるべき」という無意識の固定観念を取り払って、自分に正直になることが第一歩になるのかもしれません。