そんな活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏。
今回は、その本多氏の著書『1秒で答えをつくる力 お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』より、本多氏の仕事に対する考え方ご紹介します。
仕事をしていると困った上司や同僚とコミュケーションを取らなければいけないときが必ずあります。
こちらの状況や言い分をまったく考えずに「いいから黙ってやれ!」と言われた経験を持っている方もおられるのではないでしょうか。
こういった発言をされたとき仕事のできる人はどう返すのでしょう。
まず、「いいから黙ってやれ!」と言われたとき言ってはいけないのNGな返事が2つあります。
ひとつは「謝ること」、もう一つは「言い返すこと」です。
そもそもこういった話の通じない人間の言っていることは初めから破綻しています。
論理よりも感情が先に動いているので、皆さんが悪いということはほぼありません。
強い圧力のある物言いで、勢いに負けてしまうこともあるかと思いますが、謝る必要はまったくありません。
その場しのぎで、とりあえず中途半端に謝ってしまうと、かえって相手を調子に乗せてしまうこともありますから、注意が必要です。
かと言って、言い返すのもNGです。
皆さんが悪くないのは言うまでもないのですが、感情的な相手に言い返すのは火に油を注ぐようなものです。
言い返したくなる気持ちはわかりますが、無駄に時間を浪費してしまうだけなのでグッと我慢しましょう。
では、仕事ができる人は「いいから黙ってやれ!」と言われたときどう返答するのでしょう。
答えは「いつまでに何をどうしたらいいですか」と返すのです。
感情的になっている相手に対しては、論理的にクリアすべきことを明確にしてほしいと要求することで状況を乗り越えます。
そういう人は、自分の言うことを聞かせて押しつけたいだけで、なにをどうして欲しいのかまでを具体的に考えていないことが意外と多く、この返答自体が牽制の意味を果たしてくれます。
加えて、仮に言われたとおりのことをするにしても、「黙ってやれ!」という漠然としていた命令が、「なにをしたらいいかはっきりとした」明確な仕事依頼に変わります。
つまり、大切なことは感情的な人にこそ論理的に対応することが重要なのです。
むかっと腹立たしくなる気持ちはわかりますが、相手のテンションに合わせてしまうと損をするだけなので、ぜひ頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。