人間は汗をかく夏などは体臭に気を遣う方も多いと思いますが、猫に関しては体臭が少ないと言われていますね。
臭いがしないどころか「おひさまのいい臭いがする!」という超肯定派の飼い主さんもいるほどです。
そんな愛猫から突然イヤな体臭がしたら、えっ?と戸惑いませんか?
今回は、猫の体臭にまつわるアレコレについて解説したいと思います。
1.洗ってないのに臭くならないのはなぜ?
2.猫の問題のほとんどは「トイレ」
3.ニオイだけでなく毛並みに変化があるときは
4.急な強いニオイは病気のサイン
5.トイレやフードは小まめに片づけましょう
★ まとめ
猫の体臭を良い匂いと感じるかはどうか個人差がありますが、少なくとも健康な猫にはほとんど体臭はありません。
その理由はズバリ「狩猟動物」だからです。
猫の狩りは待ち伏せスタイルなので、体臭があると獲物に気付かれてしまうのです。
なので、猫が日頃から体臭を消すために行っているのが毛づくろい(グルーミング)。
猫は起きている時間の実に3分の1を、この毛づくろいに費やしているとも言われています。
単なる美容目的の身だしなみではなく、狩猟を成功させるために身につけたテクニックなのですね。
猫にとっては生きる術そのものなのです。
また、猫は肉球にしか汗をかきません。
そのため、汗くさくなることもありません。
さらに猫は日向ぼっこが大好きで、日向ぼっこすることにより、被毛を乾燥させ、雑菌の繁殖を減らし、紫外線による消毒効果も促しています。
日向ぼっこの効果で悪臭の原因となる雑菌が少なくなり、猫の体臭は少なくなるというわけです。
ちなみに日向ぼっこには、他にも「体温の維持」「血行促進」「リラックス効果(ストレス解消)」などの作用もあります。
窓辺でウトウトしている愛猫の姿は、飼い主さんにとってもリラックス効果抜群ですよね。
2.猫の問題のほとんどは「トイレ」
このように体臭が少ない猫ですから、部屋の中で嫌な臭いがするときはまずトイレ関係をチェックしてみましょう。
猫のオシッコは濃縮されているため、かなり強烈な臭いです。
肉食動物なので、ウンチもかなり臭います。
基本的に猫はトイレをキレイに使い、排泄後は砂をかけて隠しますが、中には足にかかってしまったり、トイレからはみ出してしまったりする子もいるので、可能であればそっとトイレの仕方をチェックしてみましょう。
お腹の調子が悪くて下痢をしている場合、おしりや後ろ足にウンチがついてしまっている場合もあります。
困るのは、未去勢のオスによるスプレー行為です。
縄張りを主張するためのマーキングで、しっぽを立てて壁や家具に強烈な臭いのオシッコを飛ばします。
去勢すればほとんど行わなくなりますが、癖になって去勢後も行う猫もいるようですので、予防したいなら発情する前に去勢手術を済ませましょう。
また、未避妊のメスも行うことがあります。
トイレ以外の場所で座って排泄する場合は、スプレー行為ではありません。
トイレの場所や素材、掃除の頻度に対するクレームという可能性が高いので、見直してみてください。
猫は、自分のオシッコの臭いがする場所は、トイレと判断してしまいます。
スプレー行動や粗相をしてしまったときはすぐに拭き取って、アルコールなどで消毒して臭いを消しておきましょう。
3.ニオイだけでなく毛並みに変化があるときは
「なんだか最近、毛がボサボサしてるな……」臭いに加えてこんな変化を感じたら、何らかの理由でグルーミングが十分できてない可能性を考えましょう。
グルーミング不足の原因として考えるのは、病気やケガなどの体調不良です。
特に思い当たらない場合は、普段の動きをよく観察してみたほうがいいかもしれません。
グルーミング不足だけでなく、化膿してしまったキズや皮膚炎などが臭いの原因になっている可能性もあるので、スキンシップをしながら全身をチェックしてみましょう。
シニア猫の場合は、そもそもの体力が落ちたり体が不自由になったりするため、体調不良でなくても毛づくろいの頻度が減りがちです。
飼い主さんがブラッシングやペット用ウェットシートなどでケアをして、手助けしてあげてください。
ドライシャンプーを活用するのもおすすめです。
臭いの元になる物質を分泌する皮脂腺とアポクリン腺は、しっぽの付け根や肛門周り、足の裏、耳などに集中しているので、ここを念入りにケアしてあげるといいでしょう。
また猫によっては、肛門腺絞りが必要な子もいます。
おしりから臭いがする場合は、動物病院でチェックしてもらいましょう。
相談すれば絞り方を教えてくれたり、動物病院で絞ってくれたりもします。
4.急な強いニオイは病気のサイン
急に強い臭いを発するようになった場合は、病気が隠れているサインかもしれません。
体のどこから臭いがしているのかによって考えられる病気は異なりますが、気になる場合は動物病院で相談することをおすすめします。
口臭がする場合は、歯周病の可能性があります。
実は猫の多くは歯周病を患っていると言われています。
悪化すると歯がボロボロになるだけでなく、他の病気を引き起こすこともあるため、予防するにはやはり歯みがきが大切です。
胃腸などの内臓が原因で息が臭くなっている場合もあります。
普段の様子や食事の様子をよく観察してみましょう。
耳から臭いがする場合は、外耳炎などを起こしている可能性があります。
単に耳垢が溜まりすぎているというケースもあるので、お手入れ不足かもと感じたら、お掃除してあげましょう。
ただしお手入れをしすぎても炎症の原因になりえるので注意が必要です。
元々猫のオシッコはかなり臭いものですが、オシッコのアンモニア臭がきつくなったと感じたら、膀胱炎や尿路結石といった泌尿器系のトラブルが起きている可能性があります。
ウンチの臭いがきつくなった場合は、消化不良を起こすなど、腸内環境が悪化しているのかもしれないので、消化の良いフードに変えてみるなど工夫してください。
身体の特定の場所だけでなく、全身から臭いがすると感じるのであれば、皮膚トラブルの可能性があります。
毛や地肌がべたついたり、逆にカサカサしていたりしないか、チェックしてみましょう。
また歯周病などを起こしている場合、その臭いが毛づくろいによって全身に移っている場合もあります。
5.トイレやフードは小まめに片づけましょう
ここまで「猫自身」の臭いについて見てきましたが、最後にそれ以外の臭いについても確認しておきましょう。
やはり一番臭いの元になるのはトイレです。
排泄のたびにこまめに片付けることをしていれば、臭いはグッと減らすことができます。
そうは言ってもトイレに張り付いているわけにはいかないので、その場合は猫砂を多めにする、消臭機能の高い猫砂に変えるといった対策を取りましょう。
そして最低でも毎日1回は排泄物を片付け、月に1回はトイレ自体を洗って猫砂を入れ替えましょう。
トイレは洗剤で洗った後にクエン酸を溶かした水をスプレーしたり漬け置きしたりすると、アンモニア臭が軽くなりますよ。
飼い主さんができる臭い対策の2個目はフードです。
猫は犬のように一度に食べきらず、ちょこちょこ食べることが多いので、フードを出しっぱなしというおうちもあるのではないでしょうか。
一度口をつけたフードは雑菌が繁殖しやすく、臭いの元になっていることがあるので、なるべく食事ごとにフードを出してあげるようにしましょう。
フードの出しっぱなしを避けるためには、一度に食べられる量を把握しておき、一定の時間が経ったら下げることです。
最初は数時間からはじめ、徐々に短くしていってください。
またフードのかけらや唾液がつきますから、食器は使ったらその都度洗うようにしましょう。
基本的なことですが、換気も臭い対策には効果的です。
換気がしづらい部屋には空気清浄機や脱臭機を導入するというのもひとつの方法です。
まとめ
普段飼い主さんが気づかないわずかなケモノ臭でも、ニオイに敏感なお客様は気づいてしまうこともあります。
こまめに丁寧に暮らしつつ、生活の中で猫の臭いを感じさせないようにしたいですね。