そばに近づくと唸ったり、いつのと違う声で鳴き、いきなり飛びついてきたり、噛みついてきたり、引っ掻いてきたりすることもあります。
猫は人間と違って、鋭い爪と牙という武器があるので、いきなり飛びかかってくるとびっくりするというよりも、恐怖すら感じるかもしれません。
実際に攻撃をうけたことのある方はとても怖い思いをされたのか「家に入るのが怖い」「猫の顔を見ると恐怖を感じることがある」「猫のことは大好きだけれど、近くに来る身構えてしまう」というような感情を持たれるようです。
では、猫はなぜ愛する飼い主さんを急に攻撃するようなことがあるのでしょうか?
今回は考えられる3つの理由をご紹介していきます。

猫がもし飼い主さんに対して攻撃的になってしまった場合は、なぜ攻撃行動が発現しているのかを考えてみましょう。
最初に、身体の問題から攻撃している可能性があることを忘れてはいけません。
猫は、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症、糖尿病など、脳の機能に影響がある内分泌(ホルモン)の病気で攻撃行動が出る場合があります。
また、内分泌疾患がなく、単なる体調不良でもイライラしていて攻撃的になる場合もあります。
もし愛猫が何だかイライラして、人につっかかってくるなと思われたときは、かかりつけの動物病院で相談を内分泌疾患にかかっているかを診てもらってください。
2.飼い主さんにかまってほしい
特に身体に問題はないようであれば、次に行動を詳しく見てみましょう。
よくあるのは遊び誘発性の攻撃行動です。
猫は遊びたくて人に飛びかかってきますが、飛びかかられた人は「攻撃を受けた!」と思ってしまう状態です。
猫は遊びが大好きな動物です。
大好きな飼い主さんにかまってもらいたくて、飛びついてきている可能性もあります。
この問題は多くの場合は、子猫や若い猫に多いかと思います。
原因は退屈していたり、飼い主さんが十分に遊んでくれなかったり、関心を求めたかったりすると、自ら「あそぼ~!」と飛んできてしまうわけです。
遊びからの攻撃行動に対しては、猫じゃらしや釣り具の先に羽のついたようなおもちゃや、ボールなど転がすおもちゃなどで遊んだり、「知育トイ」と言われるおやつをおもちゃの中に隠して工夫をしておやつを出しながら遊ぶおもちゃなどで一人遊びをさせたり、鬼ごっこやかくれんぼで一緒に遊んであげましょう。
頭を使わせることで落ち着く可能性もあります。
猫もトレーニングができますので、トンネルをくぐったり、ハードルを飛び越えたりする競技やおうちの中でいろいろな障害物を作って飛んだりくぐらせたりして遊ぶのもよいでしょう。
3.心の問題
遊び誘発性の攻撃行動には見えず、「しゃー」「うー」と言って人のことを睨んでいて、少し近くに行くと飛んできて攻撃してきたり、人の動きを阻止して部屋から出られないくらい狙ってきたり、猫に襲われるので動けない、部屋から出られない、猫に監禁されているような状態、など緊迫した攻撃行動を起こす場合もあります。
これらは恐らく、猫が何らかの恐怖や葛藤性の混乱を飼い主さんに対して持っていて、攻撃行動に繋がっている可能性があります。
飼い主さんは気づいていないけれども、愛猫が何らかの恐怖を味わった後、その恐怖を感じた時に、例えば飼い主さんがその場にいたのであれば、その時の恐怖が結びついて飼い主さんを見ただけで、過度な攻撃行動を向けてしまい、自分の安全を守ろうとする行動に出ます。
普通の状態ではないと思いますが、恐らくこのような緊迫した過度の攻撃をする猫は、脳内の感情をコントロールする「セロトニン」というホルモンの枯渇があったり、何らかの脳の機能異常が起こっていたりする可能性もあります。
かかりつけの動物病院を受診することで、脳内のセロトニンを調整して脳の機能を改善するようなお薬うを出してもらえることもあります。
そのような猫に対しては、行動修正と言って、人の心療内科で行うような「認知行動療法」に似たものを使っても治療ができます。
かかりつけのドクターがこのような攻撃行動に対して詳しくない場合は、動物の精神科医である「行動診療科」で特殊診療をしている獣医師もいますので、専門の獣医師を紹介してもらうのもよいでしょう。
受診するときは、治療を待っている間に攻撃されないよう、飼い主さんの安全を確保していただくことが大切です。
ケージを用意して、中に入れたまま猫専用の部屋として暫定的にそこにいてもらって、最低限のお世話だけするようにして、お互いにクールダウンします。
動物病院に連れていく際には、キャリーに入れて連れていくことになるので、キャリーに素直に入る練習をしておくとよいでしょう。
もしも不安であれば、興奮を下げるお薬もあるので、動物病院に事前に相談されてお薬を最初にもらっておいて飲ませてから連れていくことも考えられると思います。
猫が攻撃してくるのが怖くて家に入れなくなる、なんてなかなか友人に話しても信じてもらえなかったりしますが、実際にその状態になると本当に恐ろしいですね。
まずは遠慮なくかかりつけ医に相談し、必要なら、専門の行動診療科の獣医師にも相談ができるんだ、と知っておくだけでも気持ちが楽になるのではないでしょうか。

まとめ
猫の動画や写真はホントに癒し効果がありますよね。
しかし、そんな可愛い猫が、まったく違う一面を突然見せて、心を痛めている飼い主さんもたくさんいらっしゃるようです。
猫と一緒に平和に生活する上では、さまざまな知識や暮らしの工夫、ポイントを押えることが必要だと思います。
猫が幸せであるのはもちろんのこと、飼い主さんも幸せな毎日が実現されるように願ってやみません。