一見同じような菜食を中心に摂取する主義に見えますが、ベジタリアンは、野菜だけを食べる人ではありません。
野菜中心の食事をするヴィーガンと呼ばれる人もいますが、ベジタリアンと何が違うの?と感じる方もいるのではないでしょうか。
実はベジタリアンは植物性食品を食べる食生活全般のことを指す言葉で、さまざまな種類があります。
その種類のひとつがヴィーガンです。
今回はベジタリアンという言葉の由来や理由なども含めご紹介したいと思います。
★ ベジタリアンとは
★ ベジタリアンの種類
【 ヴィーガン 】
【 フルータリアン 】
【 オリエンタル・ベジタリアン 】
【 ラクト・ベジタリアン 】
【 オボ・ベジタリアン 】
【 ラクト・オボベジタリアン 】
【 ペスコ・タリアン 】
【 ポーヨー・ベジタリアン 】
【 セミ・ベジタリアン 】
★ ベジタリアンを選ぶ理由
★ まとめ

ベジタリアンの起源には諸説ありますが、紀元前6世紀にギリシャの哲学者ピタゴラスが考え出したのが始まりだとされています。
その後、19世紀にマンチェスターの聖書教会の会員によって、肉や魚は食べずに卵や乳類の摂食は本人の選択により、穀物・野菜・豆類などの植物性食品を中心にした食生活を行なう運動が展開されました。
ベジタリアン(Vegetarian)は、日本語訳では「菜食主義者」と訳されます。
一見「ベジタブル」だからそれを食べる人の事を「ベジタリアン」と呼ぶと思われがちですが、実はベジタリアンの語源はラテン語の 「健全な、新鮮な、元気のある」という意味‘vegetus’ に由来していると言われていています。
ベジタリアンな食生活を送る人は、牛肉や鶏肉などのお肉や魚類など動物性食品を避け、野菜、きのこ類、果物、いも類、豆類、ナッツなどの植物性食品を中心に摂る 食生活をおくっています。
ただ、多様化がすすみ、なかには「畜肉は食べないが魚は食べる」「鶏肉は食べる」といったベジタリアンもいます。
ベジタリアンという言葉は、英国ベジタリアン協会発足時の1847年に初めて使われたと言われています。

ベジタリアンと一口に言ってもいろいろなタイプがあります。
【 ヴィーガン(Vegan)】
いわゆる「完全菜食主義者」の人たちの事です。
肉、魚、卵、乳、はちみつなども摂取しません。
日本では、精進料理や玄米菜食の多くが伝統的なヴィーガン対応食にあてはまります。
また、ヴィーガンの食生活を送る人はウールや牛皮など、動物性素材や成分なども使用したり身につけない人が多いです。
【 フルータリアン(fruitarian)】
穀物と野菜の他、フルーツやナッツ類も食べる人のことを指します。
ヴィーガンよりもより厳格な菜食主義者といわれています。
【 オリエンタル・ベジタリアン(oriental vegetarian)】
肉・魚・乳製品・卵製品を食べない点では、基本ヴィーガンと同じ食生活ですが、五葷(ごくん)と呼ばれるニラ、ニンニク、ラッキョウ・アサツキ・ネギは食べません。
【 ラクト・ベジタリアン ( lacto vegetarian)】
肉、魚、卵は食べず、乳・乳製品は摂取します。
宗教上の理由で実践している人も多く、インドで広まっています。
【 オボ・ベジタリアン (ovo vegetarian)】
「オボ」はラテン語で卵という意味で、卵・卵製品を摂取します。
肉、魚、乳製品は口にしません。
【 ラクト・オボベジタリアン(lacto-ovo vegetarian)】
乳・卵は摂取するものの、肉や魚類は摂取しません。
欧米で多く実践されているスタイルです。
【 ペスコ・タリアン pescetarian)】
肉を食べず、魚・卵・乳製品は食べます。
ベジタリアンの中でもハードルが低く、続けやすい食生活です。
ポーヨー・ベジタリアンと同じく、ベジタリアンではないと見る向きもあります。
【 ポーヨー・ベジタリアン(Pollo-Vegetarian)】
「ポーヨー」はスペイン語で鶏肉を指します。肉類の中で鶏肉のみ食べ、魚、卵、乳も食べます。
一部ではベジタリアンとしての定義から外れるという説もあります。
【 セミ・ベジタリアン(Semi-Vegetarian)】
フレキシタリアン(Flexitarian)とも言います。日本語では「準菜食主義者」。
基本的に植物性食品を食べますが、場合によっては肉類も食べるなど柔軟性のある食生活を送る人です。
柔軟な判断が求められることから、「フレキシリタン」とよばれることもあります。

ベジタリアンを実践する人は、宗教上の理由以外に動物愛護、環境問題、健康への配慮など、いくつかの理由があります。
動物愛護の場合は、家畜動物や魚が殺されてしまうことに疑問を抱く点から実践されています。
環境問題が理由の場合は、畜産物がもたらす環境負荷、漁業による海洋汚染などを理由に行っています。
健康へ配慮している方の場合は、「加工肉などは発ガン性が高い」とWHOが発表したり、動物性食品にはコレステロールが多く含まれていることから、健康上の理由で行っています。
世界的に見てもベジタリアンの人数は増加傾向にあります。
国土交通省のデータによると、世界のベジタリアンの人口は2018年の時点で約6.3億人。ヴィーガンよりも種類が多く、カジュアルにトライしやすい特徴を持っているような理由から、欧米諸国を中心に毎年約1%の増加を見せているとされています。
日本でも、2023年にVegewelがおこなった「第4回日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査」によると、ベジタリアンは4.5%、ヴィーガンは2.4%という結果でした。 21年の時の調査と比べても増えています。
(出典:https://vegewel.com/ja/style/statistics3)

まとめ
ベジタリアンを選択する理由は、宗教、健康、アニマルライツや環境保護意識など、人それぞれです。
しかし、このベジタリアンやヴィーガンといった生きる上で何を食べるのかと言う点においての選択は、多様性を認め合うことが重要視される未来社会では大切なこととなるのではないでしょうか。