また、年代別では、65才以上の5人に1人が発症するとされています。
認知症は、もはや誰もがかかる可能性があると思った方がよさそうです。
ただ、最近の研究によって、普段の生活習慣が認知症を招く深い要因になっていることがわかってきました。
生活習慣を見直すことで、認知症に罹るリスクを軽減することも十分可能だと思われます。 今回は、認知症にならないために、やってはいけない生活習慣についてご紹介します。
今のところ、残念ながら認知症を完治させる薬はありませんし、完全に予防することも難しいとされています。
しかし認知症について近年は研究が進み、2020年には、世界五大医学雑誌のひとつ『ランセット』に、認知症の発症にかかわる12のリスク因子が掲載されました。
それは、①飲酒、②喫煙、③糖尿病、④肥満、⑤高血圧、⑥頭のけが、⑦運動不足、⑧難聴、⑨社会的孤立、⑩うつ病、⑪教育歴、⑫大気汚染です。
これらに加えて、良質な睡眠の重要性も説かれており、リスク因子を改善して罹りにくい生活習慣や食生活をすることによって、認知症の発症リスクは約4割下げられるといわれています。
すぐにでも、認知症になりにくい生活習慣に改善し、を身につけることが重要です。
12のリスク因子の中でも、特に気をつけてほしいのが「難聴」だそう。
というのも、難聴の人が認知症になるリスクは、そうでない人に比べ1.9倍高いというデータがあり、難聴になることで脳の言語を司る部位の働きが低下する影響だとされています。
さらに、聴こえにくくなってくるとコミュニケーションがとりづらくなるので、他者との接触を避けるようになり、脳への刺激が減って認知機能が落ちやすくなるとも考えられています。
また、「糖尿病」と「肥満」にも注意が必要です。
女性の場合は、更年期の影響で太りやすくなる50代以上は特に要注意です。
糖尿病や肥満になると、インスリンが脳で正常に働かなくなり、アルツハイマー型認知症を引き起こしやすくなるといわれています。
ご紹介するやってはいけない行動を、ひとつでも多く改善していくことが、認知症予防の一歩になるでしょう。
1.たばこを吸う
中年期(40~64才)以降も喫煙を続けた人は、非喫煙者に比べてアルツハイマー型認知症になる可能性が2倍、血管性認知症は2.9倍高いとされます。
また喫煙者本人だけでなく、受動喫煙者もリスクが上がるので要注意です。
2.愚痴や悪口を言う
「どうせ自分なんて」といったネガティブな思考は、認知機能の低下を招く原因になるとされています。
また、他人の悪口を吹聴したり、批判的な態度をとることは、自分自身のストレスになるだけでなく、家族や友人が離れていき、社会的な孤立を深める原因になるのでやめましょう。
3.料理はせずに、食事は外食やデリバリーが中心
料理をするという作業には、脳を活性化させる効果があります。
コロナ禍の影響で外食の機会が奪われ、デリバリーが習慣化したり、もともと外食中心の食生活で料理をしないという人もいるかもしれませんが、料理をすることで、献立を考えたり、包丁やハサミで食材を切ったり、その食材を焼く、蒸す、ゆでるといった一連の作業が、脳を活性化させる効果をもたらします。
具体的には、脳の前頭前野の働きが活発となって血流が増加したという研究結果が出ています。
簡単なものから始めてみて、できるだけ毎日続けましょう。
4.歯みがきをサボりがち
歯の健康と認知症の関係は非常に深く、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の発症因子アミロイドβの生成・蓄積を促進させることがわかっています。
さらに、虫歯菌が認知機能の低下と関係していることも明らかになっています。
口腔内の健康が、そのまま脳の健康につながることを覚えておきたいものです。
5.休日は誰にも会わず家でダラダラ
他者とのコミュニケーションは、脳を刺激し、脳の発達を促進させます。
家にひとりで閉じこもってばかりいては、人と話す機会が減るだけでなく、社会的な孤立にもつながります。
買い物に行く、カルチャースクールに通うなど、意識的に外出する用事を作るようにしましょう。
6.イヤホンをして大音量で音楽を聴く
イヤホンやヘッドホンを使い、大きな音量で音楽を聴き続けると、音を伝える役割をしている内耳の有毛細胞が徐々に壊れて難聴になりやすくなります。
頻繁な使用は控えた方がよいでしょう。
どうしても使いたい場合は、音量に十分気をつけて、なるべく短い時間にしましょう。
7.ストレスのかかる生活をしている
認知症予防には、ストレスをためないことが大切です。
人が心の底からリラックスできる状態とは、実は、食欲・性欲・睡眠欲の三大欲求が満たされることで成立します。
性欲を満たす方法は、異性と体を重ねるだけでなく、ペットなどの動物や子どもと触れ合ったり、“推し活”などの疑似恋愛でもかまいません。
心がときめくことで、脳が活性化されます。
8.筋肉増強の筋トレが必須!
認知症予防に運動は大切です。
筋力維持を目的とした適度な筋トレはいいですが、50代以上でムキムキになるくらいの過度な筋トレは、けがや病気のもとになる可能性があります。
認知症予防を主とした目的とするなら、筋トレよりも有酸素運動が有効です。
週2~3回、1回30分以上のウオーキングをすることをおすすめします。
認知機能の低下防止だけでなく、身体の代謝がよくなり血糖値や血圧の改善も期待できます。
9.体調不調ですぐ市販薬をのむ
ちょっとした不調ならば、ドラッグストアなどで手に入る薬をのんで様子をみるという人も多いようですが、市販の風邪薬、花粉症薬、胃酸の分泌を抑える薬、せき止め薬、睡眠改善薬などの中には、認知機能に影響を及ぼす成分が含まれているものもあります。
自己判断で市販薬を過度に服用すること控えて、体調がすぐれないときには病院で診察を受けて適切な薬をもらいましょう。
10.簡単な計算にすら電卓を使う
脳は使わないとどんどん衰えてしまうので、日常生活でも頭で計算する習慣を作るのがおすすめです。 たとえば、買い物をしながら合計金額を算出することで、計算力と記憶力が鍛えられます。
11.失敗を怖がり得意なことしかやらない
年齢を重ねるとチャレンジ精神が薄れ、何事も慣れ親しんだものを選びがちですが、新しい体験をすると脳の神経細胞が活性化します。
日常的に、いつもと違う道を通る、新しい店に入るなど、ちょっとした“初体験”を心がけてみてください。
12.いつも同じ人としか話さない
親しい人との会話は気楽で楽しいですが、緊張感が足りないということもあります。
初対面やあまり話したことのない人との会話の方が、相手がどんな人かを探りながら話すので脳への刺激も強くなります。
13.心配性で、何度も確認したくなる
スウェーデンの大学が行った調査によると、心配性な人ほど認知症になりやすいとのデータがあります。
人は笑うと脳が活性化し、心身もリラックスします。
心配性な人は、意識的に声を出して笑うようにしましょう。
まとめ
認知症を100%防ぐことはできませんが、日常生活の改善で認知症発症リスクは大きく下げることができます。
悪い習慣はできる限り避けて、元気に楽しく長生きできるように心掛けましょう。