70~80代の後期高齢になった親は常に認知症を患うリスクに晒されています。
しかし、数年に一度会うことがあるかないかと言うような環境で離れ離れに暮らしていると、その異変に気づくことはなかなか難しく、仮に同居していても、毎日少しずつ変化する親の様子を把握することはかえって難しいかもしれません。
子どもが気づかない間に、ひたひたと迫ってくる見えない認知症の脅威から老親をイチ早く守るためにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、見逃してはいけない4つのポイントについてご紹介します。




認知症になる平均年齢は?


◇ ◇ ◇


なんだか前に会った時より危なっかしい気がするな……。




久しぶりに帰省した際、会った親の変わりようを目の当たりにして、漠然とした危機感に駆られた人もいるのではないでしょうか。


厚生労働省によると、認知症になる平均年齢は若年性認知症を含むと51.3歳なのだそう。
年老いた親を持つ方なら、いつ親が症状を発症してもおかしくないでしょう。

しかし、親に異変を感じたきっかけというのは様々で、認知症ではないかと子どもが感じる兆候も数多くあるようなのです。




次章は、年老いた親の異変に気付いたのは、どのようなきっかけだったのかをアンケート調査から見てみましょう。






親の異変を感じたきっかけ


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1.記憶障害


「今まではお箸でごはんを食べていたのに、久しぶりに実家に帰ったらスプーンで食べるようになっていた」(55歳・男性)

「以前より歯磨きする回数が増えた」(60歳・女性)



など、わずかな異変をきっかけに認知症が発覚したケースも見られます。


ただ、それが単なる加齢による物忘れなのか、深刻な認知症につながる記憶障害なのかを見極めるのは難しいのです。

記憶の細かい内容を忘れることは普通の老化や健忘症でも見られるのですが、認知症の記憶障害とは、体験そのものを忘れてしまい、きっかけがあっても思い出せないという点に特徴があります。




2.認知障害


「自炊が減っておかずも一品減った」(64歳・女性)

「買い物の支払いをキャッシュレスですることが多くなった」(65歳・男性)



記憶系の認知機能が低下し短期的な記憶に支障が出てくると、脳のワーキングメモリーをいくつも同時に使う作業が困難になり、複雑な作業ができなくなります。
そのため、食材を切ったり、お湯を沸かしたりする間に、同時に油で炒め物をするなどといったタスクが増える料理は避けるようになる傾向がります。

例えば、吹きこぼしが増えたり、調味料を入れ忘れたりといったことが起きやすくなり、ダブルタスクが難しくなると、面倒くさいと感じることは徐々にやらなくなっていくため、料理そのものをやめてしまいます。




キャッシュレスでの買い物が増えたというのは、細かい計算が苦手になっているということです。




3.意欲の減退


「何事もおっくうがってやる気を失っている」(60歳・女性)

「長い間続けていた趣味をやめてしまった」(61歳・男性)

「会話が少なくなった」(50歳・女性)



物事に取り組む姿勢が見られなくなり、生活に意欲が感じられなくなると、異変は目に見えるかたちで顕在化してきます。


趣味などをやめてしまうといった抑うつ的な症状や意欲の減退は、代表的な認知症の初期症状です。


それまできちんと身だしなみを整えていたのが無頓着になったり、着ているものに季節感がなくなったり、部屋の整理整頓ができなくなるなどの変化にも注意が必要です。




4.運動機能の減退


認知機能の低下による運動機能の減退により、もっとも大きなリスクとなるのがクルマの運転です。




心配して免許返納を勧めたが、「注意して運転しているので大丈夫。クルマがないと買い物ができない」と言う返事なので仕方なく黙っていたが、帰省した折に最寄り駅まで迎えに来てもらったとき、以前は注意深く運転していた道幅4mの山道をノーブレーキで走るのを見て怖くなり、病院で診てもらうことにした」(50歳・女性)




公共交通機関が行き届かない田舎で暮らす老親にとっては、クルマは日常生活を維持する足の代わりともいえる生命線です。
運転せざるを得ない理由があるので、免許の自主返納率は80代ドライバーでいまだ10%未満という数字がその実情を物語っています。


返納できない事情は重々理解できますが、シルバー世代のドライバーによる異変を知らせるアラートは、すぐさま大きな事故に直結するため細心の注意が必要です。




頻繁にクルマをぶつけたり、脱輪するなど運転ミスが増えたことがきっかけで認知症が見つかることも多いのです。
反射神経の衰えによる運動スキル低下が原因ではなく、認知症が絡んでいる場合の事故は、決定的な判断ミスから生じることが大きな要因になっています。




現在、国は75歳以上のドライバーを対象に認知機能検査を義務づけており、警察庁のサイトには問題用紙も掲載されています。
16種類のイラストを制限時間内に覚え、単純な数字を用いたタスクを課した後でいくつ思い出せるか等のテストは、認知症のスクリーニングをするうえで効果的です。

もしも親の異変に気づいたら、こういったテストを積極的に活用してみるのもよいのではないでしょうか。






「認知症のシグナル」チェックリスト

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下に認知症が疑われる際のチェックリストを掲げましたので、当てはまる項目がある場合は専門医に相談してください。






【「認知症のシグナル」チェックリスト】

1.昔は密にあった連絡が減った
2.おかずが一品減った
3.箸ではなくスプーンで食事をする
4.キャッシュレスでの会計が多い
5.昔話など同じ話をするようになる
6.財布や鍵を探すようになる
7.心配で同じことを何度も聞いてくる
8.綺麗好きだったのに散らかっている
9.クルマの傷が増えている
10.料理の味つけが大きく変わった
11.食への興味や意識が減退している
12.身だしなみを気にしなくなった
13.お風呂にあまり入らなくなった
14.感情の起伏が大きくなった
15.人や物を「あれ」と呼ぶことが増えた







まとめ

親と同居していて、毎日様子がわかる環境に暮らしていても認知症にかかってしまったかどうかの判断はなかなかつきません。
離れて暮らし、1年に数回会うような場合の方が、変化に気づきやすいとも言えます。
親の様子を見て、何かおかしいと少しでも違和感や疑問を感じた場合は、進行を早めに食い止めるためにも物忘れ外来や認知症外来を速やかに受診していただくことをおすすめします。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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