春の陽気で、日中ポカポカする日が増えてきました。
でも実は、寒暖差の激しい春は自律神経が乱れやすく、眠りすぎてしまったり、眠りが浅くなったりと、睡眠習慣が乱れやすい季節でもあります。
今回は、睡眠専門医・白濱龍太郎氏の著書『ぐっすり眠る習慣』 から、今の時期に役立つ毎日ぐっすり眠るための行動をご紹介します。







寝る直前に歯磨きするのは絶対NG


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「春眠暁を覚えず」ということわざどおり、この季節はつい気持ちよくうとうとしてしまいがちです。

そんな心地よさとは裏腹に、実は、春は睡眠にとって大敵な季節でもあります。

なぜなら、「長く眠る=睡眠の質が上がる」ではないからです。


身体の疲れを取るためには、深く眠ることが欠かせません。

どんなに長時間眠っても、眠りが浅いとしっかり回復できず寝起きも悪くなり、日中頭が回らなくなってしまいます。

新年度のスタートに、寝坊なんて絶対に避けたいものです。


深く眠るためには、準備が大切です。

わたしたちは「ブレーキのついていないクルマ」のように、3秒で走ることはできても、3秒で寝ることはできません。
この構造を理解していないと、いつでもすぐ休めると思って無理をしすぎてしまいます。

夜、寝る前の準備として、夕食をとり、入浴し、最後に歯磨きをして、ふとんに入るという習慣が身についている人は多いと思います。

しかし、できれば今晩からはその習慣を見直してください。
なぜなら、就寝直前の歯磨きはぐっすり眠るのを妨げるからです。


夜にきちんと眠りにつくためには、「メラトニン」という睡眠ホルモンの働きが必要です。
このメラトニンは、日中の活動でできたセロトニンというホルモンを原料にして、脳の松果体(しょうかたい)で作られます。

日が暮れて夜になるにつれ眠気が増すのは、このメラトニンの働きによるものです。


しかし、寝る直前に歯茎が刺激されると、せっかく生成されているメラトニンの分泌量が減ってしまうことがわかっています。
メラトニンはとても繊細で、歯ブラシの刺激だけでもその分泌が抑制されてしまうのです。

しかし、歯磨きをしないまま寝るのは衛生的にも気になるもの。

そこで、夕食から寝るまでのあいだ、できれば就寝1時間前までに歯磨きを済ませるようにしましょう。
これで衛生面の問題もクリアできますし、もし気になるようなら寝る前に水でうがいをするのがいいでしょう。






寝る前スマホは100%睡眠の質が下がる

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すべての生物には、生まれながらに「体内時計」というものが備わっています。
これは「サーカディアンリズム」とも呼ばれ、「ある時間帯にはこういうことをしたい」と本能的に身体が欲する約24時間のリズムのことです。

ただ、このリズムは地球の自転周期よりやや長いので、どこかでリセットできないと就寝時刻がどんどん後ろにずれていってしまいます。

これを毎朝リセットしてくれるのが太陽の光です。
それをもとにしてセロトニンがつくられ、夜に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されるのです。

ですが、先述したように繊細なメラトニンは、歯茎だけでなく、目からの刺激によっても分泌が抑えられてしまうことがわかっています。


寝る前にスマホやテレビ、PCなどを見ると、画面から発せられるブルーライトが脳の松果体を刺激し、メラトニンの分泌を抑えてしまうのです。

これが体内時計を狂わせ、「眠りたくても眠れない状態」になってしまいます。

体内時計の乱れが悪化すると、朝起きるのがとても難しくなってしまうこともあります。
さらに、ブルーライトだけでなくスマホからの情報がストレスになることも見過ごせません。


今の時代、家にいてもスマホで仕事の連絡ができますし、SNSを見て他人に影響されることもあります。


たとえば、せっかく家で休んでいたのに、上司からのメールを見てしまったが最後、「返信しなきゃ」ということで頭がいっぱいになってしまったという経験はないでしょうか。

有能な人ほど、情報を得るとつい次のアクションを考えてしまうので、1つボールを投げ返しても、「次は、次は……」と加速度的に反応しなくてはという意識が強くなり、つねに頭の中で何かをぐるぐる考えてしまう「マインドワンダリング」という状態になります。

これは、「心がさまよっている」という意味で、このような状態になると寝る時間になっても心が休まらずに、休息とは程遠い状態になってしまうのです。

そうは言っても、スマホは時計代わりに使っているし、目覚ましのアラームもスマホでセットしているから非現実的だ、と思う方もいるでしょう。
そんなときの解決方法は、意外に簡単で、前の日の昼間に目覚ましをセットしておけばいいのです。

昼間のうちに次の日の起床時間を決めて、アラームを設定してしまいましょう。
これで、寝る直前にあわてて暗闇の中でスマホを開いてアラームをセットすることはなくなります。




大音量の目覚ましは脳を疲れさせる

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寝る準備を整えて眠りにつき、いよいよ翌朝。
大音量の「ジリリリ」という目覚まし音で起きていませんか?

確実に起きられるなら悪くはない気がしますが、実はこれ、睡眠習慣としてはNGなのです。


脳の準備ができていない状態でけたたましい音で無理やり起きると、血圧が上がり、起床の準備をするコルチゾールというホルモンがあわてて分泌されるため脳に負担がかかり、良い目覚めにはなりません。

そこで、アラームをかける場合は「邦楽」にするのがおすすめです。

脳が日本語の歌詞を無意識下で認識することで少しずつ覚醒して、スッキリ起きることができます。

さらにこだわるならば、ゆったりしたリズムで始まって、そこからだんだんテンポアップしていくような曲がベストでしょう。


こういった曲調の音楽を聴くことが、朝のいい目覚めにつながるとの研究報告もあります。


逆に、絶対に避けたいのが、爆音が鳴り響くような音楽です。

眠っていて副交感神経のほうが優位にある状態から無理やり目覚めることは、自律神経と体内時計の乱れにつながります。
体内のリズムが狂って心身のバランスが崩れた結果、うつ状態に陥るおそれさえあるので、くれぐれも注意してください。

どうしても朝が苦手な人に試してもらいたいのが、心理学で知られる「宣言効果」を使う方法です。
これは、目標を紙に書き出したり、他人に宣言したりすることで目標達成に導く効果ですが、これを起床にも応用するのです。


次の日に楽しみなイベントがあるときなどは、不思議とスッキリ起床できた経験がある方も多いのではないでしょうか。
まさにそれと同じ作用で、就寝前に起床時刻を強く認識することにより、血圧を上げ、起床の準備をするコルチゾールも分泌されやすくなり、スムーズな目覚めにつながります。


これを習慣に取り入れ、就寝前に翌日の起床時刻を家族に告げるか、自分自身で数回「○時に起きる」と唱えるようにしましょう。

毎日行えば起床に対する自身のモチベーションも上がり、やがて起床時刻の前に目を覚ますことができるようになります。
この方法は、なにより継続して行うことが重要ですので、根気強くトライしてみてください。






まとめ

ご紹介したように、行動に少し気をつけるだけでも、睡眠の質を高めることはできます。
朝、目覚めたらカーテンを開けるのも忘れずに。
暖かくなってきたら、カーテンを開けっ放しで就寝してもいいでしょう。
春こそ今までの睡眠習慣を見直し、イキイキとした生活をスタートさせましょう。

『ぐっすり眠る習慣』

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。