これから少しずつ涼しくなる夏の終わりこそ、蚊が元気になって増えてきます。
人間と同じように猫の場合も蚊への対策は必要なのでしょうか。
犬のように、蚊を介しておこる病気「フィラリア症」にかかることはあるのでしょうか。今回は猫ちゃんへの蚊対策についてご紹介します。
刺されるか刺されないかで言えば、猫も蚊に刺されます。
しかし、猫は人間のように蚊に刺されても、皮膚が赤くなってかゆみを伴う状態になることはあまりありません。
かゆくなる理由としては猫も人間と同じメカニズムで、蚊が血を吸う際に、血液凝固を抑制する物質を注入し、その物質がかゆみを生む原因となります。
全くかゆくないわけではないのですが、人間ほどにはかゆみを強く感じないと考えられています。
ただし猫の場合、蚊の吸血に対して強いアレルギーを発生する場合があります。
かゆみが強いと、蚊に刺された部分を引っかく行為が見られるほか、皮膚がただれるほど毛づくろいをすることがあるので注意が必要です。
蚊を介しておこる疾患の代表としては、「フィラリア症」(別名:犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)症)があります。
犬糸状虫症という名前ですが、猫もかかる場合もあります。
蚊がフィラリアに感染した犬の血液を吸血することで、蚊の体内にフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が入ります。
その蚊が猫を吸血すると、猫の体内にミクロフィラリアが入ります。
幼虫は皮膚から血管に入り込んで数カ月かけて育ち、最終的に心臓や肺動脈に成虫が寄生してフィラリアに感染します。
猫のフィラリア症は、せきやぜんそくに似た症状がみられますが、犬よりも診断が難しく、呼吸器系の他の病気との判別も困難になります。
フィラリア症は、犬に対する病気としてはよく認知されているため、予防率も高いのですが、猫のフィラリア症はまだ十分に知られておらず、予防をしている飼い主さんは少ないようです。
フィラリア症は、基本的に予防が最も重要になるので、猫独特の問題として知っておくことが大切です。
猫用のノミ駆除剤の一部にフィラリアを予防できるものがあるので、それらを活用するとよいでしょう。
猫の品種や性別、生活環境によって蚊に刺されやすい、刺されにくいという明確な差はありません。
また、長毛種と短毛種といった被毛の長さが蚊に刺されやすくなる要因になることもないと考えられています。
生活環境で言えば、頻繁に屋外に出る猫は、完全室内飼育と比べて蚊に刺されることが多いことは考えられます。
人間は昔から蚊よけとして、蚊取り線香を使ってきました。
蚊取り線香の中には、ピレスロイドといわれる殺虫成分が含まれています。
ピレスロイドとは、天然の除虫菊乾花から抽出された殺虫成分「ピレトリン」と、よく似た化学構造をもつ合成化合物を総称した言葉です。
特長としては、温血動物に対する毒性が低く、生体内での分解、排泄が極めて速いので慢性毒性などの心配が少ないことです。
猫にとってもピレスロイドは強い有毒成分ではありませんが、ごくまれに蚊取り線香にアレルギー反応を生じるケースがあります。
その場合は使用を控える必要があります。
体調に問題がない場合でも、猫が頻繁に行き来する場に蚊取り線香を置くことは、やけどや火のトラブルに発展する可能性がありますので、管理には十分注意が必要です。
一般の虫よけスプレーは人間に使用することを目的としており、猫に直接スプレーすることを想定していません。
近年は動物用の虫よけスプレーが販売されており、自然由来のハーブを主体とした成分で安心して使えるよう考慮されています。
使うのであれば、ペット用の虫よけスプレーを使用しましょう。
まとめ
近年はスプレーで蚊の侵入を防いだり、火を使わない蚊取り用品が出ているので、屋内で蚊取り線香を焚くおうちは減っているかもしれません。
猫にも蚊は刺すのだということが分かったので、ペット用の虫よけスプレーを購入しようと思います。
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