仕事で疲れた時、読書をしている時、布団でリラックスしている時になど、アロマをたいて楽しむ人もおられるのではないでしょうか。
猫を飼っている方のなかにもアロマテラピーが好きな人は多いですが、猫がいる家ではアロマをたかない方が良いようです。
どうして猫がいる部屋ではアロマを炊かない方がいいのか、その理由をネットで検索すると様々な情報が出てきて混乱してしまうかもしれません。
今回は、ご自宅に猫がいる家でアロマをたいてはいけない理由をご紹介します。





なぜアロマテラピーは猫の体に合わないのか


◇ ◇ ◇

なぜ猫がいる部屋ではアロマをたかない方がいいのでしょうか。

それはアロマテラピーに使われる精油を舐めた猫が死亡した例や、毎日アロマを炊いた部屋で一緒に住んでいた猫が血液検査で肝臓の値が著しく高かった例が報告されているからです。


アロマテラピーに使用される精油は、特定の植物から抽出して製造されたものです。
植物から抽出された純度100%の不純物が混ざっていないもののみを「精油」と呼びます。

1mlの精油を製造するためには、その100倍~1,000倍の質量の植物が必要なため、種類によっては大変貴重で高価なものになります。

100%天然植物由来の精油ですが、特殊な製造行程により極度に濃縮されているため人間でも誤って飲み込んでしまうと危険なのです。


では、なぜ猫には精油が危険なのでしょうか。

一番の理由は、猫の肝臓の機能が犬や人間の肝臓とは少し違っているからです。


肝臓の重要な働きのひとつに、解毒作用があります。
肝臓は体にとって有害な物質を無害な物質へと変化させる働きがあります。

猫の肝臓には、重要な解毒機構のひとつであるグルクロン酸抱合がないことがわかっており、そのため本来グルクロン酸抱合で分解されるべき精油の一部の成分が解毒されず、体に溜まって悪影響を与えるのです。
同様に、最近ペットとして人気のフェレットも、グルクロン酸抱合の能力が弱いとされ、精油の毒性がでやすいことが分かっています。


どうして猫やフェレットがグルクロン酸抱合ができないのかと言うと、猫やフェレットは人間や犬と異なり肉を摂食しないと生きていけない完全肉食動物です。
人間のベジタリアンのように野菜と穀物だけでは生きていけません。

完全肉食動物である猫とフェレットがグルクロン酸抱合の能力が低いのは偶然ではなく、野生の完全肉食動物は植物をあまり摂取しないため、進化の過程で肉食に合った肝機能が残り、グルクロン酸抱合など必要のない能力は退化したのだと考えられます。


犬も猫と同様に肉が大好きですが、完全肉食動物ではないため、肉を摂食しなくても生きていけるため雑食動物に分類されています。


また、 2022年6月9日のブログ『猫の近くに絶対に飾ってはいけない植物たち』 にも書きましたが、猫に対して強い毒性のある危険な植物はたくさんあります。

植物の全てが猫にとって危険というわけではありませんが、私たち人間や犬と比べると危険な植物が格段に多いことをぜひ認識しておいてくださいね。


猫が食べても大丈夫な猫草やキャベツやレタスを好む子もいて、そういった植物であれば少しの量を食べさせるのは問題ありません。

しかし精油は植物の有機化合物が何倍にも濃縮されており、少量でも中毒を起こしやすいのです。


また精油は、毒性が体内で蓄積されていくところが非常に恐ろしい点です。

数年のアロマテラピーの影響が、ある日突然症状として飼い猫に現れる可能性があります。







猫に安全なアロマはないの?

精油の中にも、比較的毒性の少ないものはありますし、また、精油の製造過程の副産物である芳香蒸留水(ハイドロゾル)ならば、猫に使用しても安全だという意見もあります。

しかし、まだまだ精油を長期的に猫に使用した研究やデータが少なく、理論的に問題が無いと言われている精油でも、今後猫に対する毒性が見つかるかもしれません。


例えば、ユリ科植物が、なぜ猫に致死的な腎不全を起させるのかが詳しくわかっていないように、猫と植物毒性に関しては、科学的に解明されていないことが多いのです。

現段階においては、できればハイドロゾルのアロマをたくことも避けたほうが良いでしょう。






どうしてもアロマが欠かせない方へ

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既にアロマテラピーが生活の一部になっている方もおられるかもしれません。


どうしてもアロマが欠かせないという方は、猫がアロマを誤って舐めないように厳重に管理する、アロマの頻度を減らす、猫がいる部屋では炊かない、換気をこまめに行うなど、猫が摂取する可能性を限りなくゼロに近づけるように努力する必要があります。


精油の中にも猫にとって特に毒性が強いものがあるので、これらの種類の精油は避けましょう。

また動物病院で定期的に健康診断を受け、その際には家でアロマをたくことがあることを申告し、肝毒性などの副作用が出ていないかをチェックしてもらいましょう。


愛猫のストレス軽減や、皮膚病に対してアニマルアロマテラピーを試してみたいと考える方もおられるかもしれません。

アロマテラピーで自分自身の症状が改善した経験がある飼い主さんが、アロマの効能を飼い猫にも試してみたい、と思う気持ちはわからなくもないですし、猫でもハイドロゾルを用いたアニマルアロマテラピーがあります。


しかし専門家ではない方が自分で猫のアロマテラピーを実践するのは非常に危険です。

もし興味があるというのであれば、まずアニマルアロマテラピーに精通した獣医師に相談して、猫のアロマテラピーのメリットとデメリット、そして起こりうる副作用について確認することが大切です。



まとめ

アロマテラピーだけでなく、人間用または犬用医薬品、漢方薬、サプリメントについても同様のことが言えます。
人間や犬には安全に使える多くの薬で、猫では強い副作用が出ることが報告されています。
飼い主さんは、人間や犬とは肝臓の解毒機能が違うということをしっかり頭に置いておくことです。
猫ちゃんのためにと思ってやったことが、皮肉にも猫の健康を害してしまうような悲しいことにならないように、何か猫に投与する時は飼い主さんだけで判断せず必ず獣医師に相談してくださいね。

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筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。
デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。