そしてほとんどの方は、その臭いは尿漏れが原因と考えているらしいのですが、三井記念病院の産婦人科医長、中田真木氏によると間違いなのだそうです。
正しい拭き方を知った時には「目から鱗!」という言葉も出て来るそうです。
ポイントは、大きく分けて2つ。
今回は正しいおしっこの拭き取り方について取り上げたいと思います。
おしっこは血液から作られています。
血液には、全身の臓器に栄養素や酸素を運んでいますが、同時に体中の老廃物や有害物質を腎臓に集めるという役割もあります。
血液が腎臓に流れ込むと、腎臓の「糸球体」という場所で老廃物や有害物質、余分な水などがろ過されておしっこのもとが作られます。
その後、おしっこのもとは尿細管を通って腎臓の腎盂(じんう)という場所に集められます。
腎盂(じんう)に集められたおしっこのもとは、さらに「尿管」という管を通って「膀胱」へと流れ、最後は「尿道」を通って体の外に出されます。
尿細管を通るときに約99%(ほとんどは水分)を再吸収して身体に戻し、残った1%が尿となるのです。
その過程を踏むことで、血液から老廃物をろ過して体の外に捨てるだけでなく、血液の濃度を調整する役目も担っています。
1日に腎臓がろ過する血液は、約150リットルにもなります。
健康な大人だと、1日に800~1,500ミリリットルの量のおしっこが作られているのです。
更年期になり下着が臭うと、おしっこが漏れているのではないのかと心配してしまいますが、実は尿漏れの原因というよりも、排尿後の拭き方が原因であることが多く、正しい拭き方をすることで解決することがほとんどなのです。
私も半世紀以上女性をやってきて、いつのころか後ろから前に拭くのはダメで、絶対に前から後ろに拭くようにと習いました。
ところが、今までやり続けてきた方法は不正解。
私自身「えっ!」と驚きましたが、正解は『当ててじっと待つ』なのだそうです。
具体的にご説明すると、まず適量のトイレットペーパーを手に取り、おしっこの出口のあたりに優しく当ててドライになるまで吸い取ります。
押し当てる時間の目安は、5~10秒。
年齢を重ねるとともに女性ホルモンの分泌が減ってくると、尿道周りの粘膜の表面が薄くなってしまいますが、排尿時におしっこを拭き残していると、アンモニアが粘膜に入りやすくなるため、炎症が起きて悪臭がするようになるのです。
大切なのは、決して紙を動かしてはならない、ということ。
水分を含んだトイレットペーパーで、こすって摩擦を加えると、小さなくずができ、尿道や膣に入り込む可能性があります。
この行為を続けることで、何度もトイレに行きたくなったり、あるいはトイレに行きたいのを我慢できないようになる、と考えられているそうです。
トイレットペーパーでおしっこを「拭く」のではなく「当てて待つ」。
こすったり動かしてはいけませんよ。
便座の正しい座り方としては、
1. 股を大きく開く
2. 前傾姿勢を取る
ことなのだそう。
両脚を合わせたまま排尿すると、一部が逆噴射して膣の中に入って不潔になってしまう可能性があるのです。
若い時には深く考えもしなかった排おしっこの作法ですが、年齢とともに膀胱も老化していき、十分に溜めてスムーズに出し切ることができなくなって、排尿トラブルにつながるのです。
スウェーデンで行われた研究では、夜間頻尿と寿命が関係している可能性が示されており、70歳以上の男性では、「夜中に3回以上トイレに起きる人は、2回以下の人と比べて死亡率が約2倍に上る」ことが分かっています。
これは、夜間頻尿そのものが寿命を縮めるのではなく、夜間頻おしっこがある人は寿命を縮める病気が隠れているサインかもしれないことを示しています。
「排尿にかかる時間が長くなる」「夜中にトイレで3回以上起きる」といった何かしらの尿トラブルは、健康状態を知る重要なバロメーターです。
単に「年のせいだから仕方がない」として片付けずに、自身の健康状態に何か異変が起きている可能性を疑ってみるようにしましょう。
まとめ
とくに頻尿や尿漏れなどは、加齢現象の一つとして誰にでも起こり得るので、下着が臭うのもそのせいにしてしまいがちです。
もしかすると、においの原因は排おしっこの正しい拭き方や座り方ができていないだけなのかもしれないので、もう自分も年だから仕方がない、とあきらめずにぜひ今回ご紹介した方法を試すことから始めてみてください。