介護保険料は40歳になった月から保険料の支払いが発生し、生涯に渡り保険料を支払う義務があります。
これは介護保険法で定められており、任意で脱退することはできません。
実はこの介護保険料、支払いを2年滞納すると過ぎると時効になり、さかのぼって保険料を支払えなくなります。
すると介護保険料の未納期間に応じてペナルティが課されることになり、原則1割の自己負担が3割に引き上げられたり、高額介護サービス費の支給が受けられなくなります。
今回は、滞納する意外と怖い介護保険料の支払いについて掘り下げてみたいと思います。




介護保険料って何?


◇ ◇ ◇

介護保険料とは、日本国民全てが40歳から加入が義務づけられている公的制度『介護保険』の支払い金額のことです。


介護保険料を支払うことで、介護保険を利用して要支援・要介護認定を受けたのちに、介護保険サービスの料金を原則1割負担で利用できるようになり、上限はあるものの、残りの金額が介護保険から支払われる仕組みです。


介護保険料の支払金額は所得により異なるほか、勤め人か自営業か、また65歳以上の人は住んでいる市区町村によっても異なるため、一概に一人いくらということは言えません。


会社員や公務員の場合だと、40歳になると賃金から健康保険料と同様に毎月介護保険料が天引きされるようになります。
また健康保険と同じく、介護保険も会社が半額分を負担してくれます。

なお、会社員や公務員に扶養されている配偶者は、会社全体で健康保険料と介護保険料を負担してくれるため、自分で別途支払ったり、配偶者の分を支払ったりする必要はありませんが、『特定被保険者制度』がある会社に勤める人が40歳未満の介護保険に加入していない年齢で、配偶者が40歳以上65歳未満の介護保険の加入年齢にあるときは、配偶者の分の介護保険料を支払うことがあります。


自営業者等は40歳になると、支払っている国民健康保険に上乗せする形で介護保険料を支払います。
国民健康保険には会社員のような扶養という概念がないため、夫と妻が40歳になったところで、それぞれに介護保険料がかかります。

また、会社が半額負担して賃金から天引きするという制度もないため、口座振替や納付書により保険料全額を支払わなければなりません。


年金受給者は、年金から介護保険料が天引きされます。
年金は2か月毎の受給になるため、介護保険料も2か月分が天引きされます。
扶養されていた配偶者が年金受給者となると、自分の年金から介護保険料が徴収されるようになります。





介護保険料滞納のペナルティー

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介護保険料の支払いには、大部分の人が年金や給与からの天引きで支払う「特別徴収」と自営業者、無職の人、年間受給額が18万円未満の年金受給者の人は、納付書や口座振替により自分で支払う「普通徴収」とがあります。

自動的に天引きされる場合には滞納はおきにくいのですが、普通徴収の場合はうっかり忘れて滞納してしまうということも起こりがちです。

滞納したとしてもすぐに支払えばただちにペナルティーが課せられるわけではありませんが、1年以上滞納し続けている場合は悪質とみなされ、ペナルティーや差し押さえ等の処分を受けることがあります。



介護保険法に定められている滞納期間ごとのペナルティーを見てみましょう。


■1年以上の滞納の場合
介護サービスの利用料を一度全額支払わなければならない(介護保険法第66条)

通常であれば、介護保険サービスの負担割合分だけを支払えばよいのですが、滞納が1年以上続くと、介護保険サービスの費用の全額をいったん支払ってから、後日払い戻しを受けることになります。

例えば、要介護4で28万円の介護保険サービスを利用した場合、1割負担の人なら2万8000円の負担で済みますが、介護保険料を1年以上滞納していると、いったん28万円を全額支払ってから、その後25万2000円の払い戻しを受けることになるのです。



■1年半以上の滞納の場合
保険給付の支払いを差し止められる(介護保険法第67条)

1年以上の滞納の時点であれば、いったん全額を支払った後で払い戻しを受けることができますが、1年半以上滞納を続けると、その払い戻し金額が差し止められ、差し止められた金額が介護保険料にあてられます。

例えば、要介護4で28万円の介護保険サービスを利用した場合、1割負担の人なら2万8000円の負担で済みますが、介護保険料を1年半以上滞納していると、いったん28万円を全額支払い、そこから滞納している介護保険料が差し引かれた後、残金が払い戻されることになります。



■2年以上滞納の場合
介護保険サービス利用料の自己負担が3割・4割の割増負担に(介護保険法第69条)

介護保険料の支払いは2年を超えると時効となるため、後でお金に余裕ができても支払うことができません。
2年以上滞納があった期間は、さかのぼって支払うことができず、介護保険の負担割合が1、2割だった人は3割負担に、3割負担だった人は4割負担へと負担額が上がるペナルティーが課せられます。
つまり、介護保険料は変動しないものの介護サービス利用時の負担割合が増えるわけです。


例えば、要介護4で28万円の介護保険サービスを利用した場合、1割負担の人なら2万8000円の負担で済むところを、2年以上滞納するとペナルティーとして3割負担の8万4000円と3倍になります。






介護保険料の支払いが困難なら

介護保険料は滞納を続けると負担が大きくなり、2年を超えると取り返しがつかないことになりかねません。
もし特別な事情で、介護保険料を支払えない状況ならば、市区町村の窓口に問い合わせをしましょう。
自治体によって対策は異なりますが、一般的に以下のような対策が用意されています。


・徴収猶予
 一定期間支払いを延期できる制度


・分割納入
 一括納付ができないときの制度


・減額
 要件を満たす場合の支払額を減らす


・免除
 要件を満たす場合は支払いを免除される

※現在はコロナ禍の影響により支払いが困難な場合などの特別制度を実施している自治体もあります。






まとめ

今回の記事はお役に立ちましたでしょうか。
国が定めた介護保険料の支払いは、できるだけ滞納せず毎月しっかり払っておきたいものですが、特に現在はコロナ禍の影響などで、生活や状況に応じて納付できない場合の措置もとられているので、支払えないときは放置せず、早めに自治体に相談しすることが賢明です。

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筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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