ある日突然、鏡に映る自分の顔がとても老けたように見えて愕然とすることはありませんか。
歳をとっていくのは仕方がないけれど、見た目を若々しく保つことはできないのだろうか、と考えてしまいますよね。
今回は、生活習慣病改善のエキスパートとして知られる池谷敏郎医師の、老いを止めるための独自のメソッドをまとめた著書、『老いは止められる』から、見た目がみるみる若返り、モテだすという「血管アンチエイジング」の極意をご紹介したいと思います。
実は、人の第一印象を決め、見た目年齢に最も影響する「顔の老化」は、体内の血管が老化することから始まります。
血管年齢が高い人ほど、顔にはしみ、しわ、たるみが目立ち、実年齢よりも老けて見えるのです。
血管年齢が若ければ見た目も中身も若く、血管年齢が老けていれば見た目も中身も老けているという科学的事実を、愛媛大学医学部附属病院が調査しました。
抗加齢皮膚ドックを受診した273人の血管年齢と実年齢の関係を調べたところ、血管が若いほど見た目も若く、血管が老化しているほど見た目にも老化していることが確認され、人間の「見た目の若さ」も「中身の若々しさ」も、イコール「血管の若さ」だということが医学的に明らかにされたのです。
見た目年齢を大きく左右する肌の状態ひとつをとっても、皮膚の細胞を維持する栄養や水分や酸素を届けているのは、血管であり、その中を流れる血液です。
血管の機能や活動が衰えれば、当然ながら肌へ必要なものを届ける働きも衰えて、肌が老いてくるというわけです。
見た目に若々しく、無駄な脂肪がついていない体型で、身体のどこにも痛みや不調がないといった健康を基盤とする若々しさを目指していくと、気持ちや行動も大きく変わり、「若返ったね!」と人から褒められるようになるので、うれしくなってどんどん身体によい選択や行動をとるようになります。
すると、毎日が楽しくなって、ますます気持ちが上向いてきます。
こうして血管のメンテナンスを怠らない人たちは、実年齢よりもずっと見た目に若々しく、元気で、生き生きと暮らすことができるわけです。
血管には、「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類があり、血管全体の99%を占めているのは毛細血管です。
動脈と静脈の間をつなぎ、動脈からは栄養素や酸素、水分を受け取り、静脈へ細胞から回収した老廃物や二酸化炭素を受け渡しています。
一人の人間の血管の長さを合わせると、地球2周半にもなるといわれています。
皮膚の下には毛細血管が隙間なく張り巡らされ、皮膚の機能と働きと新陳代謝をサポートしています。
そして血管年齢が若いほど、血管がしなやかに広がるため、血流もよくなって血液をより多く、皮膚のすみずみまで届けられるため、肌の状態も当然よくなります。
つまり、血管は、体の内側から肌を美しく保つための「美容液」を届ける役目を担っているともいえるのです。
ところが加齢とともに、全身へ血液を運ぶ動脈の壁は次第に厚くなり、硬くなってしなやかさを失っていきます。
これが動脈硬化という血管の老化です。
動脈硬化が進行すると、血流が悪くなり、肌への美容液の供給が滞るようになります。
すると、水を与えてもらえない植物のように肌はしおれ、みるみる老化していくのです。
さらに、動脈の末端につながる毛細血管も、加齢とともに減少していくことが分かっています。
20代をピークに、40代から徐々に減少し始め、60代になると20代と比べ40%もの毛細血管が失われるといわれています。
60代では20代の頃よりも単純に考えて皮膚へ血管が届ける「美容液」は、半減している、ということです。
見えない血管が硬くなったり、毛細血管がその数を減らしたりしていることで顔が老けていくと言われても自分ではどうしようもないじゃない!とがっかりしてしまうかもしれませんね。
しかし、大丈夫、安心してください。
何歳になっても血管をしなやかにしたり、毛細血管を増やしたりして、若返らせることは可能です。
それを大前提にすることで初めて効果が現れます。
血管にダメージを与えて老化させる大きな2つの要因、1つは「糖化」、もう1つは「酸化」です。
「老いる人の習慣」としてよくあるのが、次の3つです。
1.コーヒー、紅茶には砂糖を欠かさない
2.購入するペットボトルは甘い清涼飲料水
3.朝食に、甘い菓子パンを食べる
このような習慣でなぜ老いるのかというと、これら行動はすべて、血糖値を急激に上げて血管を「酸化」させてしまうからです。
砂糖や清涼飲料水、菓子パンには多くの糖質が含まれていることは、みなさんすでにご存じのことでしょう。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量を示すものです。
食事で摂取された糖質が消化・分解されるとブドウ糖となって血管内に送り込まれるため、血糖値が上がります。
すると、すい臓から「インスリン」という血糖値を下げる働きをするホルモンが分泌されます。
このとき、一気に多量の糖質を摂ることで、血糖値の上がり方も急激になります。
すると分泌されるインスリンの量も一気に増えるため、今度は血糖値が急激に下がりやすくなります。
このように、短時間のうちに血糖値の乱高下が起こることを「血糖値スパイク」といい、この血糖値スパイクが繰り返されることで、血管内の細胞には大量の「活性酸素」を発生させます。
活性酸素は細胞を強力に酸化させ、傷つけ、劣化させてしまうことで知られていますが、血管が傷つき、傷ついた血管が修復されることを繰り返しすうちに、血管内の壁は徐々に厚さを増し、動脈硬化の原因となっていくのです。
また、血糖値が異常に高い状態を「高血糖」といいますが、この状態を繰り返すことで、血管の老化が進行します。
血管が作られる主要な材料は、たんぱく質です。
血液中に多量のブドウ糖があふれている高血糖状態が繰り返されると、このブドウ糖と血管壁のたんぱく質が結びつき、「糖化」という現象を起こします。
血管壁に糖化が起こると、酸化ストレスによって血管の働きが妨げられたり、組織に変性が起こったりすることから、動脈硬化が進行してしまうのです。
糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs:エイジーイーズ(終末糖化産物)」と呼ばれます。
AGEsは血管だけでなく、身体のあちこちで発生し、蓄積され、酸化ストレスによって体内の老化をどんどんすすめるやっかいものです。
さらに、AGEsは血管壁の内部に侵入し、炎症を引き起こすことによって、動脈硬化の進行に拍車をかけることも分かっています。
AGEsが肌に発生すれば、肌のコラーゲンが変性を起こして弾力を失い、しわ、たるみがどんどん増えていくという、ゾッとするようなことが起こります。
血管の動脈硬化との相乗効果で急速に老化がすすむのが、酸化と糖化です。
ぜひとも「甘いもの好きほど、見た目が老ける」と心に刻んでおいてください。
さらにAEGsの蓄積によって、がんや認知症のリスクが上がるともいわれていますし、言わずもがな、糖尿病のリスクも上がることになります。
血糖値スパイクや高血糖を起こさないためには、日常的に糖質が控えめな食事を心がけることが大切です。
何をどう食べるかを頭に入れておくことは「老いを止める」ことに大いに役立ちます。
まとめ
50代になると、実年齢が増すほどに、若々しさを保つことで気持ちもポジティブでいられます。
若さの恩恵を受けている時は、もともとの美醜にこだわったこともありましたが、年齢を重ねると、より内面からでる元気や見た目の若々しさに価値があるのだと感じるようになりました。
私自身は基本の食生活に加えて、自分ではできない外的毛細血管の活性化として加圧トレーニングを取り入れています。
週1回のトレーニングで、柔軟な血管をキープして「実年齢に見えない!元気ですね」といつまでも言われるようになりたいものです。
『老いは止められる』