目を守る基本は、スマホやパソコンを長時間続けない、意識してまばたきをる、十分な睡眠時間の確保などでなるべく目を使わないことがとても大切です。
視覚が老いると認知機能の低下につながっていくと言われています。
視覚と認知機能にはどんな関係があるのか、考えてみたいと思います。
中でも視覚だけは、眠っている時以外は絶えず何かしらの情報が入ってくるため、脳はずっと情報を処理し続けていることになります。
意外に感じるかもしれませんが、人間の身体で最も動いている筋肉は、腕や脚の筋肉ではなく目の筋肉だと言われています。
目には動いている筋肉部分が200万個以上もあり、毎時間3万6000種類もの情報を処理しています。
そして目は無意識のうちに(睡眠中でも)動き続けています。
過労や寝不足の時にはコンディションの悪さを目は映し出し、下まぶたの裏側や白目の部分が変色している場合は貧血や内臓に病気があることが予想されます。
眼の状態を調べることで、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの兆候や進行度についても捉えることができるのです。
このように人間が生きていくうえで心身の影響を受けやすい目ですが、現代社会ではさらに極端に酷使されるようになってきました。
その原因としてのひとるは、パソコンやスマートフォンの急速な普及です。
私が子どものころは、テレビを長時間見ているだけで「目が悪くなる!」と叱られたものですが、そんなものの比にならないほどスマホの長時間使用による眼精疲労、ドライアイ、そしてブルーライトによるダメージは甚大なのです。
今後、目のエイジングケアは予想をはるかに超えて急速に進めていかなくてはならないと危惧されています。
目が衰えて視覚情報が減ってくると脳への伝達刺激も弱くなり、老化が進むことは想像に難くありません。
具体的に言うと、目の老化で視力が低下してくると視野が狭くなり、視覚から入る情報が低下して脳が刺激や興奮を受けにくくなります。
すると刺激や興奮対する脳の反応が弱まるため、活動意欲や活発性が下がって老化が進むのです。
さらに視覚から記憶のために必要な情報も得られなくなると、実際に脳が刺激を受けて興奮しなくなり認知機能が悪化することが報告されています。
視覚から得られる様々な情報や刺激が、日常生活における積極性や新しいことを創造する力になるので、目の機能を健やかに保つことは脳のアンチエイジングにとっては極めて大切なのです。
なかでも特に気をつけるポイントを5つご紹介しましょう。
ポイント1.「涙の分泌量と質」
涙には目の表面を潤して保護するだけではなく、目の表面にある角膜や結膜に栄養を供給する働きがあります。
加齢によって涙の分泌量や質の低下が引き起こされると、いわゆるドライアイと呼ばれる不快な症状(目の乾き、異物感、痛み、疲労感)を招きます。
不快な症状に悩まされないためには、まばたきが極めて大切です。
まばたきをすることで涙の分泌が刺激され、角膜や結膜の表面に涙がしみわたって栄養や酸素が十分送り届けられるのです。
通常3秒に1回はまばたきが必要なのですが、スマホやパソコン画面を凝視していると、年齢に関係なくまばたきの回数が極端に減ってドライアイが進んでしまいます。
他にも、コンタクトレンズの長時間装用、睡眠不足、ストレス、エアコンの長時間使用による乾燥などもドライアイを悪化させる要因です。
ポイント2.「血管の硬化」
ポイントの2つ目は、酸素や栄養を目に届ける血管の硬化です。
高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が原因となって血管が老化し、やがて動脈硬化が進行すると、目に届ける血流が減って酸素不足や栄養不足となり目の機能低下が生じます。
加齢に伴う生活習慣病にならないような健康管理が必要です。
ポイント3.「毛様体筋の衰え」
3つ目は老化と共に目の筋力が衰えて、ピント調節ができなくなる毛様体筋の衰えです。
スマホやパソコン画面を見る時に、近い距離で長い時間凝視し続けると毛様体筋の疲労が進みます。
昨今のスマホの普及により、何時間も近い距離で凝視する人が増えているため、毛様体筋の筋力や柔軟性の低下が発生しやすくなっています。
ポイント4.「水晶体の変化」
4つ目は水晶体の変化です。
ヒトがものを見る際には、毛様体筋の収縮弛緩により水晶体が薄くなったり厚くなったりして焦点を調節します。
それが老化で水晶体の弾力性が失われると老眼につながり、水晶体が濁って視力が低下すると白内障につながります。
水晶体の濁りは紫外線などによる酸化ストレスの関与が大きいと言われています。
視力低下が主症状なので、自覚しないまま長い年月をかけて徐々に進行することも多いのです。
ポイント5.「網膜の劣化」
5つ目は網膜の劣化です。
網膜はカメラに例えるとフィルムにあたる重要な部分です。
水晶体を通過してきた視覚情報が、網膜上で画像として結びつき実際に見える形が作られています。
網膜の黄斑部はルテインなど黄色の色素によって保護されていますが、老化によってこの色素が減ると、紫外線やスマホなどから発せられるブルーライトの影響や喫煙によるダメージも強く受けてしまいます。
黄斑部の色素減は、近年急増している、加齢黄斑変性という視力低下や失明に繋がる疾患が発症しやすくなります。
目の老化対策で気をつけるべき5つのポイントを意識して、涙分泌・血管・毛様体筋・水晶体・網膜の機能を落とさなければ目の若々しさを保つことができます。
生活する中での大切なことは、できるだけ目の酷使を避け休ませることです。
長時間スマホやパソコンを見続けない、まばたきを意識する、十分な睡眠時間を確保する、などが目の保護に役立ちます。
まず、寝る前のスマホの使用は厳禁にしましょう。
ブルーライトの影響を受けて睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、良質な睡眠が得られなくなります。
日中はサングラスや帽子、日傘などを利用して紫外線の刺激から目を守ることが大切です。
近視や遠視も放置せず、定期的に視力調整をすることで目の負担が軽減されます。
また、目の老化を促す糖尿病や高血圧にならないために、甘いものや塩分摂取を控えた生活習慣の管理や適度な運動が大切なのは言うまでもありません。
さらに、目にとって必要な栄養素を摂取も忘れないように。
特に、網膜の中心にある黄斑を外界の刺激から守っているルテインという栄養素は大切です。
人は生まれながらにして一定量のルテインを持っていますが、目の酸化を防ぐために年齢と共に徐々に消費されていきます。
ルテインは体内で合成できないため、食事やサプリで補充されなければいずれは枯渇してしまいます。
ルテインが豊富に含まれる、ホウレンソウ、ブロッコリー、ゴーヤなどの食材を摂り入れると良いでしょう。
まとめ
1.視線を同じにして、近いところと遠いところを繰り返し見てください。10回程度繰り返すと、目の周囲の筋肉がストレッチングされて疲労回復にもなります。
2.目を大きく見開いて眼球をぐるぐる回したり、上下左右を見たりするのを30秒程度行うのも血流回復に非常に役立ちます。
3.顔全体の筋肉を使うように大きく目を見開いてその後急激に思いっきり強く目をつぶる、これを何度か繰り返すのも目の機能維持に役立ちます。
ピントを調節し、眼球の動きをつかさどる筋肉をよく動かすことで、筋力が維持されるばかりでなく、目の血流も改善して酸素や栄養が目全体に十分に行き渡るようになります
積極的に目の筋肉を動かしてアンチエイジングに取り組んでいきましょう。