公園などで片耳をV字にカットされて、まるで桜の花びらのような形になっている野良猫を見かけたことはありませんか?
この猫ちゃんたちは「さくらねこ」と呼ばれる野良猫で、ある理由から人の手によって耳をカットされているのです。
私たち飼い主はつい飼い猫にばかり目が行ってしまいますが、世の中には飼い主を持たないたくさんの野良猫たちが生きています。
今回は「さくらねこ」を含め、地域で自由に生活している猫ちゃんたちの話題を中心に、「さくらねこ」の意味や耳カットをされている理由、この活動に取り組んでいる公益財団法人『どうぶつ基金』などについて詳しくお話ししたいと思います。



「さくらねこ」とは?

「さくらねこ」とは、飼い主を持たない地域で自由に生活している猫(野良猫)で、片耳の先端をV字にカットされた猫のことを指します。
カットされた耳が桜の花びらに似て見えることから、さくらねこという愛称で呼ばれています。
片耳の先端をカットする理由は、「避妊・去勢をしている猫」ということを判断するためです。
「猫の耳を切るなんてかわいそう」と感じる方もいるでしょうが、避妊・去勢の手術をしている猫という事がひと目で判断でき、手術済みの猫を再び捕まえてしまうことがないようにわかりやすい目印になるからで、動物愛護事業の一環として行われているのです。
手術の際はきちんと麻酔が効いている間に耳をカットするので、痛みやストレスは最小限に抑えられています。
公益財団法人『どうぶつ基金』が2005年から取り組みを始め、地域で暮らす野良猫を守り、また、ペットとして飼育されている猫も守るための活動です。
さくらねこはオス猫もメス猫も存在しますが、実は性別によりカットする耳が異なっており、オス猫は右耳、メス猫は左耳と決められています。
さくら耳で、性別を見分ける目印にもなっているのです。
現在まで、およそ10万匹の猫がさくらねこになっています。
自分の周囲で生活している飼い主のいないさくらねこがいた場合、保護したい、引き取りたいと希望する方がいるかもしれません。
さくらねこは避妊去勢手術と耳カットをされていること以外は、ほかの地域猫と全く同じですから、もちろん保護して飼うことに問題はありません。
ただもともと自由な野良猫として生活していたので、飼い猫として人慣れするまでは時間がかかることが考えられます。
トイレのしつけもできていないので、根気よく行う必要があります。
地域猫を保護するときは、できるかぎり専用の捕獲機を使い、保護に成功したらすぐに動物病院へ行くようにしましょう。
家に飼い猫がいる場合、そのままでは病気感染のリスクがあるので、同居させる前に必ず病院での検査を受けてください。




TNR活動について

公益財団法人『どうぶつ基金』による動物愛護活動のことを略してTNR活動と呼んでいます。
TNRとは、T(Trap:捕獲器で保護する)N(Neuter:不妊去勢手術する)R(Return・Release:元の場所に戻す)の略。
TNR活動の基本は、「地域猫を保護→不妊・避妊手術の実施→猫をもとの場所に返す」の3ステップで行われます。
猫を傷つけないように専用の捕獲機を使って保護した後、信頼の置ける獣医さんのもとで不妊・避妊手術を行い、手術を行った目印に耳をカットします。
猫の体調が戻ったら、捕獲したもとの場所に返し、今まで通りの生活に戻るようにします。
TNR活動では、対象となる手術をすべて無料で行っています。
猫は非常に繁殖力の強い動物なので、生後半年ほどで繁殖期を迎え、年に3回、1回に5〜7匹出産します。
そのため、不妊手術を受けさせないままでいると、飼い主を持たない地域猫が爆発的に増え続け、地域の生活環境にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。
残酷な殺処分という対策に行きつかないように、TNR活動を通じて野良猫の増加を防ぐことは非常に重要な意味を持ちますし、手術を済ませた繁殖の可能性がない猫であることを地域の人々に知らせることで、地域猫としての生活を守ることにもつながります。
TNR活動による手術は、地域猫というだけで何の罪もないのに殺処分されてしまう現実こそが、残酷なのだ、という考えのもとで行われているのです。
むやみに猫の頭数を増やすことなく、今生きている猫たちを最後までかわいがり、命を守るための手術こそが『さくらねこ』の存在を意味するものなのです。

一般的に、猫の避妊去勢手術にはオスで10,000〜15,000円、メスで20,000〜35,000円ほどの費用がかかりますが、TNR活動は無料で野良猫たちの手術を行っています。
これはこの活動に協力してくれる獣医さんたちのご厚意により成り立っているものです。
1日130円、毎月4000円の支援で、毎月1頭の猫の手術ができるとされています。
TNR活動に理解を示し、どうぶつ基金への支援を行うことで、一般市民である私たちも間接的に地域猫を守る活動への協力ができるシステムになっています。




一代限りの命をやさしく見守って

自由に生きている地域猫を捕まえて、避妊去勢手術をして耳まで切っちゃうなんて残酷な、という人もいます。
しかしそれでも増え続けた地域猫にはもっと残酷な殺処分という現実が待っているのです。
2018年度の環境省の調べによると、日本では一年間に約8千頭の犬と約3万1千頭の猫が保健所にて殺処分されています。
保健所に持ち込まれる迷い猫の約8割は生まれて間もない子猫で、その殺処分の方法はガス室なのです。
罪なき多くの子猫たちが非常に苦しみながら死に至ります。
世の中に生を受けた猫たちにはみんな生きて欲しいと思う人たちの心の現れが、時間とお金をかけて避妊去勢手術を施した『さくらねこ』の耳に象徴されています。
この思いが世の中で見えるようになることで、実際に殺処分される猫の数が減っていくのです。
殺される命を産まないように真面目に殺処分ゼロを目指した活動を応援していただきたいと思います。




まとめ

今回の記事はお役に立ちましたでしょうか。

もし街中で『さくらねこ』を見かけたら、優しく見守ってあげてくださいね。
『さくらねこ』たちは、一代限りの命を精一杯生きています。
世の中の全ての猫に、あたたかい暮らしがある未来を目指して、そんな日が現実となる日を願わずにはいられません。
TNR活動を行うための募金やさくら猫を保護することは、私たちにできる支援方法の一つです。
興味がある方は、この記事を参考にさくら猫への理解をぜひ深めていただければと思います。

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筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。