どんなに健康な親でも、高齢になれば介護を必要とする日がくるかもしれません。
2019年7月データによると要介護者の発生率は、40〜64歳では0.4%、65〜69歳では2.9%ですが、加齢とともに急速に高まり80〜84歳では27.8%、85歳以上では60.0%となっています。
実に80歳代前半は約3割、85歳以降は6割が要介護者です。
心で準備をしながら要介護者になることはあまりなく、なかには準備もなにもないまま、突然介護生活をスタートさせる人も少なくないのです。
介護の原因でもっとも多いのは認知症ですが、2位は脳卒中です。
脳卒中は前触れなく突然発症し、発症時転倒した際に骨折や外傷を負うことで入院を余儀なくされ、その結果下肢筋力が低下して要介護者となるケースもあります。
年を重ねればその分、要介護者になる可能性は上がると言えます。
いつ自分の家族に介護が必要になっても、対処する方法はあるということを知っておきましょう。




在宅介護に限界を感じたらまず相談


まず大事なことは、一人で悩みを抱え込まないことです。
もう無理だと感じる場合、介護者と要介護者が一対になってしまっていることが多くあります。
在宅介護をする際に、配偶者、配偶者の親などが相手の場合は、肉体的・精神的な疲労の他に、生活と介護が直結しているためどうしても外に視点が向かず孤立しがちになります。
孤立してくるとより大きなストレスが心身にかかります。
担当のケアマネジャーやヘルパーに小さなことでも話を聞いてもらう、ひとりで決められないが相談できる当てがないという場合は、地域包括支援センター、市区町村の高齢者福祉課などさまざまな無料の介護相談窓口があるので、遠慮せず積極的に相談・コミュニケーションをとりましょう。
デイサービスに通っているなら、介護仲間同士で話しをすることもガス抜きになります。
介護保険サービスは被介護者のことを第一に考えたサービスですが、介護者の負担軽減も大きな目的となっています。
介護者が負担を感じている場合、現状のケアプランがベストなのか、何が負担となっているのかを再度ケアマネジャーに相談して見直しを検討してみましょう。





私の限界地点

私の場合は、まだら認知症の時の介護はあまり大きな負担ではありませんでした。
1か月に1度、物忘れ外来専門病院に通院して投薬は受けていましたが、日常生活では自分で朝起きて、洗顔、歯磨きも済ませ、朝食もダイニングで一緒にとっていました。
私が仕事に出かけた後も、簡単な掃除や整理整頓などもしていましたし、近くのスーパーやコンビニエンスストアに買い物にも行き、入浴もひとりでしていました。
このままの状態が続いてくれればと祈る気持ちでしたが、ある時最寄りの警察署から携帯に電話があり、母を預かっていると言われ、驚いて迎えに行きました。
その後も急に外出しては行方不明になり警察から連絡をもらうことが続いたため、確実に認知症が進行しているのだとと認めざるを得なくなりました。
次第に四六時中目の離せない状態になり、昼と夜が逆転し、深夜に寝ずに歌を歌ったり、タンスの中身を出したり入れたり、「帰らせてもらう」と玄関から出ようとしたり…反対に日中は寝ていることが多くなりました。
神経が休まる時間がなく睡眠時間も取れないためほとほと疲れてしまい、このままでは自分が潰れてしまう、ここらへんが限界かもと思い、介護サービスの相談に地域包括センターに行きました。


疲れたら「レスパイトケア」を

地域包括支援センターがどこにあるのかわからなかったので、インターネットで「居住地名×地域包括支援センター」で検索するとすぐに見つかりました。
私はギリギリになって飛び込むように行きましたが、地域包括支援センターには専門資格をもつ職員の方々がおられ、高齢者の福祉や介護に関わるさまざまな事柄に無料で相談にのってくれます。
まだ介護を必要としない方でも、気軽に相談するのもおすすめです。
現在は介護者の負担を減らすために「レスパイトケア」と呼ばれる考え方が広がりつつあります。
「レスパイトケア」とは、介護者に代わってサポーターや介護サービスの提供者が介護を引き受け、一時的に介護から離れて休める時間を作るものです。

レスパイトケア行政支援サービス

・デイサービス・デイケア
デイサービスは、半日〜1日、施設への通所を通して食事や入浴、排泄介助などを受けられます。デイケアでは同じく施設内で、リハビリなどの機能訓練を受けます。

・ショートステイ
ショートステイは、施設への宿泊を伴う介護サービスです。数日から最長で30日間まで利用できるので、介護者の負担軽減や体調不良などに伴う状況をサポートしてもらえます。入所生活では食事・入浴・排泄などの介助の他、看護師や理学療法士による機能訓練なども受けられます。

・訪問看護・介護
看護師やホームヘルパーなどが直接自宅を訪問して、介護者の状況に合わせて介助や医療管理などを行います。
在宅したままで受けられるので、介護者が目の前で専門家の介護方法を見て学べる上、不安や疑問などを気兼ねなく相談することができます。

上記のレスパイトケアは完全に介護から開放されるわけではありません。
介護者の医療依存度が高くなってくると在宅看護はさらに厳しくなってきます。
まだ在宅医療サービスを行っている病院も少なく整備は不十分な状態です。
医療依存度が高いと地域、医療機関、介護施設の密な連携も不可欠になってくるので、在宅での介護がどうしても無理だと感じたときには、施設への入居を考えましょう。



レスパイトケア民間支援サービス

介護保険だけで賄えない場合は、自費利用となりますが民間企業が様々な便利で嬉しいサービスを増やしています。
私も本当につらいときにいくつかの民間企業が提供するレスパイトケアを利用しました。介護と重なって手の回らない家事を肩代わりしてもらうことはとても助かりました。
私が一番頼りにしたのは「家事代行サービス」です。
普段の生活でも義務のようにのしかかる家事でしたが、母の介護がプラスされるととても今まで通りにすらこなせることができなくなりました。
特に掃除。
猫が2匹いるので、マメにクイックルやコロコロをしないとすぐに毛だらけになってしまいますが、いつも掃除が後回しになってしまいひどい汚部屋と化していました。
見て見ぬふりができないほど散らかり汚れてしまって、生活のストレスがどんどん溜まり、家族の身体と心の健康には変えられないと掃除を代わりにしてくれる業者を探すことにしました。

掃除だけを頼めること
訪問曜日や時間の融通がきき、相性の合うハウスキーパーなこと
できるだけ料金が安いこと

こちらの主な希望は上の3点です。
こんなわがままな希望をきいてくれるところがありました!
【タスカジ】さん は間に家事代行業者を介してない個人同士の契約で、ハウスキーパーと直接やり取りでき、細かい希望を聞いてもらいやすい、中間マージンが発生しないため料金も業界最安値水準。
入会金や登録料が一切かからないので、相性の合うハウスキーパーさんに当たるまで何度でもお試しでお願いできることも魅力でした。
週に1度、家の掃除をプロにお願いしたことで、自分で掃除しなくてもきれいな部屋で生活できるのがどれほど私の精神的、肉体的負担を軽くしてくれたことでしょう。
私の場合は掃除でしたが、料理をしてほしい人や洗濯を任せたい人、皆さんそれぞれ希望は違うと思います。
自分に合ったサービスを上手に組み合わせて、罪悪感を持つことなくレスパイトケアを選んで、介護を抱えていてもできる限りストレスなく過ごせるようにしたいですね。


まとめ

近親者の介護は最期まで住み慣れた環境でしたい、というのはごく自然な気持ちだと思いますが、だからといって施設に入居させることに罪悪感を持ったり、気が咎める必要はないと思います。
介護される側により良い環境とは何なのかを考え、高齢者福祉施設に入居することもぜひ選択肢の一つに入れておきましょう。
介護の期間が長くなれば長くなるほど金銭的な負担も増してきます。
そして、在宅介護を長く続けるなら被介護者のことだけでなく介護するご自身のケアも忘れないように。
多種多様な相談窓口やサービスを利用して、無理をしない介護ライフを過ごすことが大切です。

筆者プロフィール

こらっと

大阪生まれ。団体職員兼ライターです。
平日は年季の入った社会人としてまじめに勤務してます。
早いもので人生を四季に例えたら秋にかかる頃になり、経験値は高めと自負しています。
このブログがいきいき生きる処方へのきっかけになれば幸いです。

お問合せはこちらで受け付けています。
info.koratwish@gmail.com


海外からの人材受け入れ団体職員として働いてます。
遡ると学生時代のアルバイトでアパレルショップの売り子から始まり、社会人となってから広告プロダクションでコピーライターとして働きました。
結婚・出産を経て、印刷会社のグラフィック作業員として入社。
社内異動により⇒画像・写真加工部⇒営業部(営業事務)⇒社内システム管理者と、いろんな部署を渡り歩きましたが、実母の介護のためフルタイムでは身動きが取れなくなり、パート雇用として人材受け入れ団体に時短勤務転職しました。

2019年実母が亡くなり、パートを続ける理由がなくなったため物足りなさを感じる毎日でしたが、年齢の壁など一顧だにせず(笑)再びフルタイムで働きたい!と就活し続けた結果、別の人材受け入れ団体に転職しました。
責任も増えましたが、やりがいも増えました。

デスクワーク経験が長く、Office関係の小ワザや裏ワザ、社会人としての経験を共有できれば幸いです。

家族構成は夫がひとり、子どもがひとり
キジ猫のオス、サバ猫のメスの5人家族です。

趣味は、読書、語学学習、ホームページ制作などなど
好奇心が芽生えたら、とにかく行動、なんでもやってみます。

猫のフォルムがとにかく大好きで、
神が創造した生物の中で一番の傑作だと思ってます。
ちなみに「こらっと(korat)」は
タイ王国のコラット地方を起源とする
幸福と繁栄をもたらす猫の総称です。




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似顔絵は、「似顔絵メーカー」で作成しました。